行くのが難しかった世界遺産 【9ヶ所まとめ】
目次
世界遺産は2024年春時点で1149件もあり、167ヶ国にまたがって分布しています。世界遺産と言うと有名な観光地、観光客がたくさんいて人気のスポットというイメージがありますが、実はあまり知られていないような場所、船やバイクでしか行けない場所にある世界遺産も多くあります。
そこで、167件の世界遺産(全体の14%)を訪れた筆者が、行くのが難しかった世界遺産を9か所に絞り、ランキング形式にしてみました。みなさんが様々な世界遺産を知るきっかけになれば幸いです。
9位 レンゴン渓谷の考古遺産 (マレーシア)
レンゴン渓谷の考古遺産は、マレーシアのクアラカンサー郊外、ペラ川流域にあり、183万年前から1700年前の遺跡が発見された、考古学上重要な地域です。
レンゴン博物館は7年前から長期間の改装に入っており、2024年現在も開館、閉館の情報はあいまいです。情報が極端に少なく、バスを乗り継いで行っても開いているかが分からないという意味で、行くのが難しい世界遺産です。近くにある小さな仮の博物館では、出土したペラ原人の骨のレプリカが展示されています。
9年以上改装が続く、いつ開館するのか分からないレンゴン博物館。
近くの仮博物館(1部屋のみの建物)ではちょっとした展示を見学できます。
8位 サン・ミリャン・ユソ修道院とサン・ミリャン・スソ修道院 (スペイン)
サン・ミリャン・ユソ修道院とサン・ミリャン・スソ修道院はスペイン北部、山の中腹とふもとに位置する双子の修道院です。
公共交通手段がほとんどなく、ナヘラからは一日2本しかバスがありません。行くのに非常に苦労する上に内部はスペイン語の現地ツアーでしか入れません。公共交通機関が無く、ガイドツアーのみという、まさに観光客泣かせの、行くのが難しい世界遺産です。
山の下にあるのがユソ修道院。ツアーでしか中に入れません。
山の中腹にあるのが双子の片割れ、スソ修道院。ツアーで訪れます。
7位 高敞干潟 韓国の干潟 (韓国)
韓国の干潟は2021年に韓国としては2件目の自然遺産として世界遺産に登録された干潟群です。全羅道を中心に韓国南西部の4か所が構成資産になっています。渡り鳥の巡行ルート”東アジア・オーストラリア地域”上であるため、多くの鳥たちが生息する重要な中継地です。
へジョン(Haejon)干潟展望台、マンドル(Mandol)干潟展望台は公共交通機関が壊滅的で、バス停からも遠いため、韓国の地方都市高敞からタクシーをチャーターして訪れることになります。まだ新しい世界遺産で情報も非常に少なく、財布泣かせで、行くのが難しい世界遺産です。
へジョン干潟展望台。たどり着ければ絶景を独り占めできます。
マンドル干潟展望台。公共交通機関がほぼ無く、情報もほとんどありません。
6位 ミアガオ教会 フィリピンのバロック様式教会群 (フィリピン)
フィリピンのバロック様式教会群は、フィリピンがスペインの植民地であった16世紀ごろに建てられたバロック様式の教会で、耐震性に優れた構造から”地震のバロック”とも呼ばれています。
4つの教会が構成資産で、3つがマニラのあるルソン島にありますが、ミアガオ教会のみがマニラから離れたパナイ島にあるため、訪れるのに船か飛行機が必須の、非常に手間がかかる、行くのが難しい世界遺産です。
正式名称はサント・トマス・デ・ヴィリャヌエバ教会、ミアガオにあるのでミアガオ教会。
教会のレリーフにはヤシの木が彫られており、フィリピンらしさを感じる教会です。
5位 アルタミラ洞窟とスペイン北部の旧石器洞窟美術 (スペイン)
1万5000年前の人類による壁画とされ、今なお空気に触れたことによる酸化で損傷を受けているため、現在では一般公開がされておりません。洞窟のあるサンティリャーナ・デル・マルにはアルタミラ博物館があり、精巧なレプリカを見学することができます。
サンティリャーナ・デル・マル自体が非常に行きづらい場所にあり、アルタミラ博物館のレプリカも時間指定制で、混雑時は長時間待つことになる、行くのが難しい世界遺産です。
本物は非公開ですが、博物館のレプリカも迫力があり、見ごたえがあります。
博物館は人類の進化や先史時代に関する展示が充実しています。
アルタミラ洞窟とスペイン北部の旧石器洞窟美術 【スペイン】行き方と難易度
4位 ドンパヤーイェン・カオヤイ国立公園 (タイ)
タイのバンコク郊外にあるドンパヤーイェン・カオヤイ国立公園は、多種多様な動物、植物、豊かな自然環境が維持されている保全区域で、バンコクから近い高級リゾート避暑地でもあり、タイの人々にも人気の観光スポットです。
カオヤイ国立公園のゲートまでは公共バスが通っていますが、公園内は交通手段がなく、個人の場合は自家用車でしか入ることができません。ビジターセンターや公園中心部へ行くにはレンタカーかヒッチハイクを迫られる、行くのが難しい世界遺産です。
バンコク北東部に広がる豊かな自然保護区、カオヤイ国立公園。
トレッキングコースが整備されており、森林を散策することができます。
3位サンタ・ロサ国立公園 グアナカステ保全地域 (コスタリカ)
グアナカステ保全地域はコスタリカの北西部、ニカラグアとの国境近くに位置している自然保護区で、6ヶ所の保護区域が指定されています。中米に生息する貴重な動植物が見られる世界遺産です。
自然保護の観点から入場には観光客であっても許可証が必要です。近郊の都市リベリアでツアーに参加するか、事前に許可を申請しておく必要がある、行くのが難しい世界遺産です。
豊かな動植物が保存された自然保護区。雨季と乾季で環境は大きく変化します。
公園内には貴重な小型のサルが生息しており、研究者のための施設があります。
2位 アイト・ベン・ハドゥの集落 (モロッコ)
アイト・ベン・ハドゥは丘の上に立つ大きな要塞と居住区を兼ね備えた建造物で、城ではなくあくまでも集落です。内部は迷路のように入り組んでおり敵を惑わす効果があったとされています。
マラケシュから車で片道4時間ほど、サハラ砂漠の玄関口のワルザザード郊外にあります。オートアトラス山脈を越えた砂漠地帯にあり、行くのが難しい世界遺産です。
赤みがかった土壁で出来た要塞のような集落、アイット・ベン・ハドゥ。
内部は迷路のように入り組んでおり、独特な景観は様々な映画のロケに使用されています。
1位 小笠原諸島 (日本)
小笠原諸島は本土と陸続きになったことがない海洋性島弧であり、独自の生態系が保存されていることから世界遺産に登録されました。日本の東京都に当たりますが、本土から約1000km南に離れた位置にあります。
自然保護の観点から滑走路がないため、飛行機が運航していません。訪れるためには週に1~2往復している海洋船”小笠原丸”が唯一の交通手段で、片道25時間程度と所要時間が長く、船の中で1日を過ごすことになる、行くのが難しい世界遺産です。
船で片道25時間の小笠原諸島。多様な生態系が保存されています。
沖の海洋トンネルからしか入ることができない南島です。
いかがでしたでしょうか?このランキングはすべて実際に行った筆者個人の感想です。行くのが難しく、道中はどれも苦労しましたが、その苦労の甲斐があった世界遺産ばかりです。
ぜひ、気になる世界遺産があれば行って見てください!
その他のまとめ記事も良ければどうぞ。
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