世界遺産好き登山素人が真冬の縄文杉トレッキングに挑戦!
日本最初の世界遺産の1つ、屋久島。そのシンボルとも言える縄文杉は、誰しも一度は見てみたいと思うものの、なかなか挑戦できない場所なのではないでしょうか。
屋久島自体のアクセスが難しく、シーズン時は飛行機が高額と言うのも理由の一つですが、往復で10時間かかるトレッキングが大変というのも大きな原因なのだと思います。
トレッキングのベストなシーズンは温かい3月から11月で、この期間は観光客が多く、縄文杉の荒川登山口はマイカー規制が行われます。この期間はふもとから登山口までバスを利用して往復する必要があります。
そこで、筆者は”オフシーズンの冬の屋久島“に挑戦してきました。あえて真冬に挑戦する利点は大きく3つ。
●飛行機の価格が安い。
●縄文杉や白谷雲水峡などシーズン時は混雑する観光地が空いている。
●マイカー規制がなく、車で荒川登山口までアクセスでき、バスの時刻を気にする必要がない。
一方で、縄文杉のある付近は標高が高く、非常に冷え込み、時期によっては積雪が見られることもあるといいます。そこで、12月31日に行った実際の縄文杉トレッキング体験記を執筆します。
荒川登山口 (6:00 AM)
縄文杉トレッキングは荒川登山口から始まります。夏季シーズンはマイカー規制のためふもとからバスを利用する必要がありますが、冬季はバスが減便するかわりにマイカーで登山口までアクセスできます。
荒川登山口休憩所、トイレ、駐車場。(日中撮影)
とはいえ、登山口の駐車場は広くないので路上駐車になってしまうことも。余裕をもってアクセスするようにしましょう。
縄文杉日帰りトレッキングの出発時刻の目安は朝の5時~7時。7時を越えると日没までに下山しきれなくなる可能性があるので早めの出発がおすすめです。
レールに沿ってトレッキングスタート!(日中撮影)
私はマイカーで5時に宿を出発し、6時に荒川登山口に到着しました。登山口付近は電気がついており、人が大勢いることもあって明るいですが、ひとたび出発すると真っ暗になります。
登山届を出すのは登山口にある大きな看板の箱。
ここがスタート。暗闇の中トロッコ道をひたすら辿って歩いていきます。(日中撮影)
人の気配もない静かな道に、冷たい夜風が吹き渡ります。
トレッキングを初めてすぐ、洞窟を通ります。吐く息が白くなる寒さです。
手すり柵のない木橋を渡るので慎重に歩く必要があります。(日中撮影)
暗いと視界が悪いので明るくなるまではゆっくり進みます。
小杉谷休憩所 (7:00 AM)
1時間ほど歩くと、長い橋を越えた先で大きな広場のある空間に行き着きます。元は学校があったとされる場所です。(日中撮影)
ここで荷物を展開して“朝ごはん“を取る人たちを多く見かけました。(日中撮影)
屋根のある大きな小屋や、長いベンチがあり、またトイレも2棟建てられていました。(日中撮影)
さらにトロッコ道に沿って歩みを進めていきます。
7時半を過ぎたところでようやく空が明るくなり始め、電気を消して歩けるようになりました。
変わり映えのない単調なトロッコ道が続き、だんだんと飽きてきます。何度も橋を渡りつつ、奥へ、奥へ。
物音がするので身構えるとトロッコ道の上に野生のヤクシマザルがいました。
道の傍で互いに毛繕いをしており、私が近づいてものんびりと同じ動作を続けていました。
大株歩道入り口 (8:00AM)
2時間と少しが経過したところで、ようやくトロッコ道の終点に到着しました。ここまでは平坦で長い長い道のりでしたが、ここからは見どころが続きます。
すっかり日が昇り、ここで休憩や食事を取る人がたくさんいました。
綺麗な水洗トイレもあるため、縄文杉登山の中継点となる場所です。
この階段の先から一気に険しい山道になります。
足元が不安定になり、本格的な山道に。
扇杉/ウィルソン株 (8:10 AM)
トロッコ道の終点から10分ほど登っていくと、かつて扇のような形の杉、扇杉が生えていた場所に出ました。
20年ほど前に折れてしまった巨木の後にはぽっかりと空間ができていますが、倒木の上には新しい芽が育ちつつあります。
豊かな環境の中で早い世代交代が起こるのも“屋久島”の大きな特徴です。
扇杉跡。倒木からは新たな芽が日光を浴びて成長しています。
さらに少し進むとウィルソン株という、巨大な株に到着。
ここも大きな広場になっていて、多くの人が座れる休憩スペースになっています。急な山道で乱れた息を整える場所です。
また、この切り株は中から見上げるとハートの形のように見えることから、ロマンチックなインスタ映えスポットでもあります。
ここからは長い山道が続きます。舗装されて歩きやすい場所もありますが、石や木の根を越えながら進む場所もあり、時間を取られます。
途中で展望台のような場所に出ましたが、ここはまだ縄文杉ではありません。
世界自然遺産地域に到達/夫婦杉 (8:50AM)
縄文杉トレッキングルートは、全てが世界遺産に登録されている訳ではありません。小杉谷休憩所付近の一部区間と、この、夫婦杉の手前から縄文杉までが“世界遺産登録範囲”です。
ここまで来ると、あともう一踏ん張りです。ここからが世界自然遺産。
互いに寄り添っているように見える夫婦杉(奥)。
長時間のトレッキングで足はガクガク。ですが、ラストスパートです。
自然遺産域に入ったあたりで雪が残っているのが確認できました。
雪が見えてきたことで、周囲の気温がさらに一段と冷え込んだように感じました。ただ、雪で道が歩けない!というほどの積もり具合ではありませんでした。
縄文杉到着 (9:10 AM)
歩みを進めること20分、ようやく縄文杉の見られる展望スペースに到着しました。森の奥にひっそりと佇む老木と初対面。
縄文杉のあたりはまだ積雪が残っているのがわかります。そうです、寒いです。
思ったよりも遠くからしか見られなかったので残念でしたが、まだ朝早い時間ということもあってか人はほとんど居らず、しばらくここでのんびり滞在しました。
上側の展望台から見ると、縄文杉をより高い位置から見ることができます。
人生で何度も頻繁に来られる場所では無いので、飽きるまで眺め尽くし、息が整うのを待って出発します。
下山開始 (9:30 AM)
いざ、引き返すとなると、より体力を持っていかれるような気持ちになりました。
気持ちよりも体がついていかず、足が上がらなくなってきます。必然的に歩くスピードも下がります。
また、この時間帯からはこれから縄文杉に向かう人たちとすれ違うことが多く、人が増えていくのを感じます。
下りこそ慎重に。幸いなことに晴れていましたが、岩場も多いので雨の日は特に危険です。
大株歩道入り口 (11:00 AM)
何度も小休止を繰り返して、ようやくトロッコの線路が見える大株歩道入口まで戻って来ました。
さすがにこの時間から登ろうとする人はほとんどいませんでした。
ここまで来れば後は平坦な下り道なので安心です。
ここでも、トロッコ道を歩く野生のヤクシマザルに遭遇。このトレッキング中でヤクシマザルを見かけるのは4回目です。
行きは暗い道をワクワクしながら歩いて来たので気がつきませんでしたが、このトロッコ道は思ったよりも長く、単調です。
代り映えの無いトロッコ路をひたすら2時間、歩き続けます。
小杉谷休憩所 (12:20 PM)
もはやすれ違う人も居なくなり、1人の時間が続きます。早朝は真っ暗だった小杉谷休憩所。この時間はもう、誰も居ません。
持って来た軽食を胃に流し込むと、ゴールを目指して再び歩き始めます。
小杉谷は元々集落や学校があった跡地なのだそうです。
荒川登山口 (13:00 PM)
小杉谷休憩所を出発してさらに歩き続けます。この辺りは朝歩いた時点では真っ暗だったので景色も新鮮で楽しくなってきました。
行きは真っ暗で何も見えませんでしたが、こんな絶景のトロッコ路でした。
手すりの無い橋を3回越えます。そこそこの高さがあるので怖いです。
やっとのことで見覚えのある橋まで戻って来ました。見覚えのある駐車場に到着。
タイムは7時間、ちょうど。行きに3時間、滞在30分、帰りに3時間30分という内訳です。
トレッキングとして長さがあり、辛いのですが、“登山”として考えると大半が平坦なトロッコ道なので楽に感じます。
体力的な面で考えても同じ世界遺産の“富士登山”の方が圧倒的にキツい印象でした。
真冬ということで積雪も警戒していましたが、歩きにくい場所も無く、オフシーズンで人が少ないので逆に歩きやすかったのかもしれません。
また、冬でも温暖な屋久島は緑が豊かで、景観としても映画の中のような美しい杉の世界を堪能できました。
飛行機が高くて手が出ない、屋久島に行ったことが無いという方、ぜひ真冬の縄文杉トレッキングも検討してみてください。
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