カンボジア・タイ旅行記 2 / 前編
シェムリアップ→アンコール遺跡群→ロリュオス遺跡群→シェムリアップ
カンボジアに着いてから初めての朝。
まだ太陽も登らない暗闇の中、ホテルを出発。昨日空港からホテルまで連れてきてくれたトゥクトゥクのおじさんと再開して出発。
まずはアンコールワットのチケットセンターへ向かう。着いてびっくり。
朝5時前なのにこの大行列。アンコール遺跡恐るべしである。
朝からこの人出。チケットの発行には30分ほど並んだ。
アンコール遺跡への入場パスは、顔写真が着く仕様である。また、パスポートの確認などもあり時間がかかるため、列の進みが遅く感じた。
朝だったからまだ良かったものの、日中だったらもっと混雑しているに違いない。
アンコールの駐車場でおじさんと待ち合わせを決めていざ憧れのアンコールへ。
日の出前であるため、足下も真っ暗闇。遺跡は石畳であるため何度も転びそうになった。日の出が水面に映るスポットに向かうと、湖の前にはすでに人だかりができていた。
日の出前の真っ暗闇にたくさんの人がカメラを構えて陣取っている。
自分なりによさげなスポットを見つけて待機する。1時間も待たずにその時は訪れた。
朝もやの中、明るい光を背に受けてアンコール遺跡が浮かび上がった。
水面にも反射した逆さアンコールもばっちり。天気も良くて幻想的な写真が撮れた。
まさに感動の一瞬。周りの観光客集団からも息をのむような音が聞こえた。
朝焼けを一目見ようと湖の縁に集まる観光客の集団。混雑するので早めに行くことをおすすめする。
一通り堪能した後はいよいよ遺跡へ入場する。
いざ、アンコールワットへ入場。朝一番で見学できるので人も少ない。
近くで見るとひときわ大きい。建物4階分くらいはあるイメージである。
事前リサーチによると、朝一番に入場できた場合、目指すべきは第三回廊とのことだったのでまずは奥を目指す。
第三回廊はアンコールワットの中心部分に当たり、最も神聖とされている場所である。階段の段差が高く、足腰の悪い人や、妊婦、11歳以下の子供は入場することができない。
また、神聖な場所であるため、女性はスカートやノースリーブなどの露出の多い格好で入ることができない。このチェックは厳しく、帰される人もけっこう多かったので注意。
また、広い場所ではないため、入場規制がかかることもあり、中には3時間待ちとなるケースもあるという。
となれば、朝一で行列に並ぶのがベストだ。幸いにも最初の5組目くらいに入れたのでほとんど並ぶことなく7時30分に入場できた。出てくるとき、すでに後ろには大行列ができていたのでおすすめはやはり朝一番だ。
日陰も少ないので長時間の待ちは体力的にも相当堪えると思う。
いざ急な階段を登って第三回廊へ。手すりもあるが見た目以上に急で怖い。
かつてはアンコールの王しか眺めることができなかった風景である。
シェムリアップでは建築に高さ制限があり、この場所が最高部となっている。
第三回廊内部。アンコールの特徴的な尖塔を間近に見ることができる。
まだ人が少ない中、一通り見学できたのでよかった。多くて100人をめどに入場規制があるらしく、自分が出て行くときにはその人数分だけ次の人が入る、といったシステムになっていた。
すでに大行列ができており、ざっと計算した感じで1時間待ちくらいになっていたのではないだろうか。
とりあえず行列を回避できたので、その後は他の場所もゆっくりと回った。なかでも一番気に入ったのが第一回廊の壁画群。それぞれに神の物語が記されているというが、確かに自分が見てもわかるほどよく描き分けられていた。
マハーバーラタの戦の場面が書かれた壁画。馬車に乗って戦う兵士の絵は躍動感があふれている。
乳海攪拌の一場面。大蛇(ヴァースチ)を力強く引っ張る神々が描かれている。
約1000年前の壁画が、風にさらされながらもきれいに保存されていることに感動した。湿気や高温にも耐える頑丈な石造りの遺跡からは、当時のアンコール朝の絶大な権力を感じた。
一通り見学を終えて満足したので、トゥクトゥクのおじさんのもとへ帰った。気温が高く暑い上に階段や段差が多いため、一周するだけでものすごく疲れた。行く人は水を多めに持っていくことをおすすめする。
次の目的地へ向かってもらう。完全にノープランだったので、観光はすべてこのおじさんにお任せした。
さて、次に降ろされたのは、アンコール・トムに向かう途中にある南大門である。この場所はアンコールトムに向かう唯一の入り口であるため非常にごったがえしていた。
観光客は徒歩でこの橋を渡って中へ入る。うっそうと茂るジャングルとの対比が美しい。
橋の両脇には大蛇を引っ張る乳海攪拌を模した欄干がかたどられている。
観世音菩薩の4面塔はアンコール・トムの特徴でもある。
南大門を抜けた先には駐車場があり、ここでドライバーとうまく合流できるようにしておく。
南大門を抜け、さらにジャングルの奥へと進んでいく。いよいよ4面塔が有名なアンコール・トムの中心地、バイヨンへ到着した。
アンコールワットの建設から50年ほど後になって建てられたこの寺院は、ヒンドゥー教の他に仏教的な要素も取り入れられているのが特徴。当時の王の価値観の違いが表れているという。
バイヨンに到着。アンコール・ワットとはまた違った趣がある。
立派な石造りの寺院の頭頂部に50個近い4面塔がかたどられている。
バイヨンの4面塔。想像より小さく感じたが、近くで見るとよく作り込まれているのがわかる。
バイヨンは日陰がなく、訪れたときには昼近くになっていたため、熱気と湿気が相まってかなり体力を消耗した。また、この時間からは観光客の数も増えてきた。
バイヨン寺院はとにかく段差が多く、一段一段が高いため、かなり歩きにくい構造をしていた。
遺跡を悠然と歩く、まるまると太ったサルの姿を見かけた。
猿は1匹ではなくたくさんおり、小猿の姿もあった。付近のジャングルに住んでいるのだろうか。
慣れない早起きをした睡眠不足や暑さ、湿気と階段の多さも加わってかなり疲れてきた。見学は体力に余裕を持っておくことをおすすめしたい。
ドライバーのおじさんとの待ち合わせはまだ先なので、近くのバプーオン遺跡へ向かう。重い足を引きずるようにしながら徒歩10分ほどで到着。
長い橋状の参道の先に3層のピラミッド構造の遺跡が見える。
バプーオンの空中参道は全長200m。地上と天界を結ぶと行った意味合いが込められている。
こぢんまりとした印象を受けるが、建築当時はバイヨンよりも大きく後に倒壊した。
向かって左側から登り、右側へ降りるという順路が決められている。
ただでさえ疲れているのにこの階段の多さである。遺跡はある程度数を絞るのも手だろう。
高い建物を見ると登りたくなるのが人のさがというもの。
そこに階段があるのであればと、疲れているのにもかかわらずバプーオンの最上階へ登っていった。
バプーオンからの眺め。ジャングルの奥に立つ遺跡という構図は神秘的である。
登った上から見えた景色はとてもきれいだった。バイヨンは高いところまでは登れないが、ここは修復も終わっているため最上部まで登ることができる。
ガイドブックではあまり触れられていないマイナーな場所である。バイヨンが有名なのに対してこちらはあまり知られていないが、すぐ近くにあるので是非とも訪れて欲しい。
ドライバーのおじさんとの待ち合わせ場所をアンコール・トムの奥の方に設定したため、自力で歩いて行かねばならない。ついでなので、その足で王宮跡を見に行くことにした。
クメール王宮は木造建築であったため、湿気や気温差などによって崩壊し、現在は残っていない。土台部分や塀、沐浴場など、一部の石造りの部分のみが残っているのみである。
広々とした池が残っている。王宮は跡形もないが、宮殿の大きさが偲ばれる。
王宮の土台部分。すでに崩壊し、植物の侵食を受けている。
注意深く歩いていると、出土物が見つかることもあるらしいが、確かにそこかしこに遺跡の一部が散乱しており、そんな気配を感じた。
王宮の見学を終え、待ち合わせをしていた正面広場に出ると、象のテラスが広がっていた。
左側が象のテラス。奥には観光客用の駐車場が広がっている。
象のテラスはその名の通り、蓮の花を摘む象が彫り込まれている。
テラスの全長は約350mにも及ぶ。テラスは上を歩くことができる。
象はクメール人が狩猟の際に使用したと言われるほど、当時の人々には身近な存在であったらしい。
テラスに沿って歩いていると、ライ王のテラスにたどり着いた。
レリーフの迷路とも称されるテラスにはたくさんの女神像が彫られている。
このテラスは、日本では三島由紀夫の戯曲”癩王のテラス”としても知られている。
テラス内部は入り組んでおり、まるで迷路のようになっている。
アンコール遺跡群全体の特徴とも言えるが、口を大にして言えるのが、
とにかく彫刻が躍動感にあふれていて見ていて楽しい。
ことである。
どの彫刻も、現在の我々が見ても意味が理解できるように作られているところに、そのクオリティの高さと、クメール人の技術力の高さを感じた。
一通り、アンコール・トムを堪能したところで、どっと疲れが押し寄せてきた。
テラスの近くにはお土産物屋や飲食店が建ち並んでいる。
特に何が食べたいという希望もなかったので、一番近くにあった店に入った。
ナシゴレン的な食べ物を注文した。基本的に写真付きメニューなのでわかりやすい。
カンボジアは物価がとても安い。現地民料金と観光客用の料金はかなり差があるようだが、それでもかなり安く感じた。
昼ご飯を食べて元気が出てきたので午後の観光に向かう。朝早くから活動しているので、これだけたくさんの見学をしてもまだ正午過ぎである。
午後は樹木に侵食されたタ・プローム遺跡や郊外のロリュオス遺跡群へ向かった。
2日目 / 後編へ続く。
次の記事はこちら
自然の驚異タ・プローム遺跡とアンコール最古の遺跡群を弾丸で巡る 【カンボジア】 カンボジア・タイ旅行記2日目 / 後編
前の記事はこちら
マイペースすぎる入国審査官と野犬王国カンボジア 【カンボジア・タイ】 カンボジア・タイ旅行記1日目
最初から読む方はこちら
魅惑の国カンボジアと国境ポイペトを通ってタイを目指す旅 【カンボジア・タイ】 カンボジア・タイ旅行記0日目
[amazonjs asin=”4802203993″ locale=”JP” title=”アンコール・ワットと癒しの旅 カンボジアへ (旅のヒントBOOK)”]
本サイトで紹介する情報は筆者の訪問当時の現地情報となります。実際に行ってみて変更や意見等がございましたら、コメント等でお知らせいただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。
また、本サイト内の記述、画像、写真の無断転載・転用を禁止します。
コメントを残す