カンボジア・タイ旅行記 4
シェムリアップ→プレア・ヴィヒア→コー・ケー→シェムリアップ
カンボジアの滞在も4日目となると慣れてきた。ホテルの朝食はサンドイッチのような物が出た。
今日はシェムリアップから車で4時間の世界遺産、プレアヴィヘアを目指す。
これまでのトゥクトゥクと比べると車はやはり速い。
市内を出ると直ぐに広大な草原が広がっている。
運転手の若い青年はあまり英語をしゃべれないようだった。日本人はあまり文句を言わないから好きだと言っていた。
静かな時間が続く。
昨日通ったバンテアイ・スレイの前も通った。車なのでやはりとても早い。
途中で名も知らぬ街を何個か通過した。
シェムリアップの北の小さな街。道路が舗装されていないのが印象的。
車に乗り続けているのもだんだん辛くなってきた。道路は砂埃がひどい。
雨期に備えて高床式になっている住居や学校も車窓から見えた。そんな風景もだんだんと街を離れると殺風景になっていく。
同じような景色が何時間も続いている。会話がはずむわけでもなく、退屈な時間が続く。
車に乗って3時間半ほどは経ったであろうか。エコノミー症候群で腰もいたくなってきた頃、ようやく遠くに山らしき影が見えてきた。
ようやく遠くに山の影が見えてきた。長旅の終わりを感じる。
ここまで来るのに4時間近く車に乗っている。腰が痛い。
ようやくふもとのチケットセンターに到着した。まばらだが観光客の姿がある。
ここから先は山の上まで登っていくのだが、普通の車ではこすってしまうため車を乗り換える必要があるという。ピックアップトラックとバイクを選ぶことができた。
大人数の場合はトラック、一人二人ならバイクで行くのがセオリーなのだろう。だが、せっかくなのでトラックで行くことにした。あとで、近くにいた人たちとシェアすれば良かったなあと少し後悔した。
車高の高いピックアップトラックで山の上の世界遺産を目指す。
とんでもないい悪路が続く。しっかり捕まっていないと振り落とされてしまいそうだ。
途中で何台ものトラックとすれ違った。みんな手すりにしがみついている。
30分ほどで山上の駐車場に着いた。ここからさらに15分ほど山を登っていく。
この場所はタイとカンボジアの国境にあり、双方が領土を主張して対立している場所である。
石段の上にナーガの欄干がある。ここから参拝が始まる。
第一塔門はカンボジアのリエル紙幣にも描かれている美しいシルエットを持つ。
そのまま進むと長い参道が続く。この奥に噂の天空寺院が控えている。
ここからが長かった。ようやく遺跡が見えてきたと思ったらまた参道が続く。
第二塔門が見えてきた。石造りの大きな建築である。
建築当時の茅葺き屋根は失われ、現在は石造りの土台のみが残る。
遺跡は迷路のようになっている。規模は比較的小さい。
参道からはこうした塔門をいくつかくぐり抜けた。同じような構造の遺跡が連続しており、参道もしばらく歩いた。
だんだんとテンションが下がってきたところで、ようやく最奥にたどりついた。
スリル満載の展望台。まさに天空寺院!!
一面に広がるカンボジアの大地。
ふもとには先ほど寄ったチケットセンターがあるのみ。眼前に広がるこの光景にしばらくたたずんでしまった。この場所の海抜は約650mである。
それほど高い山ではないが、他に何もないので広い草原を見渡すことができる。途中で寄った街も見えず、道路のみが続いている。
建物すらない、緑と青のコントラストの絶景は、シェムリアップからはるばる4時間かけて来た自分に大きな満足感をくれた。
頂上部では厳戒態勢の中なにやら儀式が行われていた。
天空寺院プレアヴィヘア。建築されたのは1000年以上前というのも驚きである。
遺跡内を探検するとかなり作り込まれていることがわかる。
この寺院の建立は9世紀だが、時代を経て改築が行われたそうである。以前はタイの街から簡単にアクセスすることができたらしいのだが、現在は封鎖されているため、シェムリアップからはるばる来るほか無い。
タイとカンボジアの国境付近でもめている地域だし、シェムリアップからも遠いのでなかなか来づらいとは思うが、是非とも訪れて欲しい世界遺産である。実際、結構日本人の観光客を見かけた。
さて、見学が終わったので駐車場に戻る。
同じようにジープに乗って山下り。ベルトも席もないのだから年配の方はきつそう。
行きとは違うジープで帰宅。一応中にも乗れるが、せっかくなので荷台に乗った。
チケットセンターまで戻ると、先ほどまでいた山が見え、名残惜しい気持ちになった。
タクシードライバーの青年と合流する。朝、比較的早く出たのでまだ昼過ぎ。特に何もなければ来た道を引き返すようだ。
ここまで来てそのまま帰るのももったいなく感じたので、帰り道にあるコー・ケー遺跡も見ていくことにした。
先ほどまでいたプレアヴィヘア寺院にお別れを告げる。
またまたカンボジアの大地をかっ飛ばしていく。すれ違う車すら少ない。
コー・ケーはベンメリア遺跡に近い東側、シェムリアップへの帰り道にある。来たときとは全く別の道を使って帰ることになる。
結局、来た道とほとんど同じような景色が続くだけだが、なんか楽しい。
そうこうしているうちに、コー・ケー遺跡のチケットスペースに着いた。
2時間くらい車で走っただろうか、そういえば昼ご飯食べてないあ、なんて考えながらうとうとしていたら着いてしまった。ここでチケットを買って奥に進む。
駐車場に到着。世界遺産ではないのでさすがに観光客もちらほらとしか見かけない。
コー・ケー遺跡の成立は10世紀だそうだ。ながらく交通事情が悪かったためアクセスも容易ではなく保護も後回しになっていたのだとか。
ガイドブックには“森の中には地雷が埋まっている危険があるのでむやみに立ち入らないように”との物騒な注意書きもある。
細かな遺跡が周囲にたくさん広がっているが、駐車場付近のプラサット・トムと7段ピラミッドが主な見所となる。
20年近くで途絶えてしまった幻の王朝の首都でもあった場所である。
世界遺産ではないためか保護もあまり綺麗になされていないように感じた。
何より、ほとんど観光客の姿を見かけないのが不気味なくらいだった。
すっかり苔むした建物は盛者必衰を感じさせる。
遊歩道は整備されているが、遺跡のがれきはそのままになっている。
しんと静まりかえったような森の中の遺跡を通り抜けると、さらに神秘的な光景が広がっていた。
森の中にひっそりとたたずむ、神秘的な巨大ピラミッド。
森の中にぽっかりと空いた広場に、それは建っていた。
プレアヴィヒアも絶景だったが、一日に二度も興奮するとは想像もしていなかった。正直、世界遺産ではない時点でそれほど期待はしていなかった。
だが、この遺跡には他の遺跡とは異なる魅力があった。なにより、このような形の巨大ピラミッドは目にしていない。
長い間カンボジアの湿気と熱気に耐え抜いた貫禄のあるたたずまいである。
しかも、驚くことにこのピラミッドは頂上まで登ることができるのである。
高さは35m。ビルだと10階建て相当のかなり高い建物である。
長い階段が続く。観光は体力勝負であることを痛感させられる。
カンボジアの熱い日差しを背に受けながら、無心でひたすら階段を登った。
ようやく頂上付近にたどりついた。観光客は一人もいなかった。
ピラミッドの段は放棄されていた影響か植物が伸び放題である。
他に建物がないので爽快感のある景色である。
不思議な遺跡とジャングルのコントラストが美しい。
35mの高さからは一週ぐるりとジャングルに囲まれていることがよくわかった。
観光客もまばらで、この光景をほとんど独占状態で楽しむことができた。
世界遺産ではなく、知名度もそれほど高くないうえ、シェムリアップから遠いのでなかなか訪れる機会は無いと思うが、時間が余っていたら、プレアヴィヒアの帰りに寄ってみるのもありだと思う。
しばらくこの光景を堪能した後はひたすらシェムリアップに向けて戻る。
途中でベンメリア遺跡に合流し、昨日と同じ道を帰ってきた。
遺跡の登り降りで疲れが押し寄せてきた。
しばらくしてうとうとし始めた、、、。
日差しが強烈なのでサングラスも必須。目がじんじんと痛んだ。
夕方にはシェムリアップのホテルに着いた。3日も滞在しているので街の散策も十分堪能している。
明日はいよいよ滞在したホテルを出て陸路で国境を越えタイに向かう。
明日の移動に向けて備えるため、荷造りをして早く休むことにした。
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