東南アジア旅行記 上巻: クソみたいな人生から逃げ出す旅 【ブックレビュー】
目次
本記事は”東南アジア旅行記 上巻: クソみたいな人生から逃げ出す旅”という本のレビュー記事です。
本の詳細は下のリンクからどうぞ。
著者紹介
この本は世界遺産巡りを志した方なら知っているであろう、“世界遺産ハンター”さんが初めて手がけた本である。世界中の世界遺産をハントする、という目標を掲げ、世界に飛び出し冒険している方である。
世界遺産巡りを目標とする方は他にもおり、そういったブログも見かける。しかし、私はこの方のブログが好きで昔からよく見ている。
この人の文章はどこか幻想的かつ感情的で、読ませるような文章力を持っている。特に旅行記系の記事は、その時々の旅の出来事に時事ネタを挟んだり、数年経ってから回想したことを挟んだりといったテクニックも多用している。文章の節々にそういった表現力の高さを感じる。
LCCが台頭する現在では旅人の数も増え、たくさんの旅行記も世に出回っているのだが、この方の独特の感性から生まれる癖のある文章はなかなか見かけることがない。そして、時折見せる荒々しい言葉遣いとは裏腹に誰かを傷つけるような毒気を全く感じないというのも、この方の人柄が表れているようである。
最近では海外への長旅を控えているようだが、いつかまたいろいろな体験をした新しい旅行記を見てみたいとひそかに思っている。
個人的なお気に入りはモロッコの旅行記である。ブログのリンクは下から。
あらすじ
まずは商品紹介ページより一部文章の引用・抜粋です。
一体、俺はどれだけ働けばいいんだ?
いつの間にか『ビッグになる』と言う夢どころか、その足がかりである留学すると言う目標すら挫折しそうでした。気が付いた時には、日本社会と言うシステムの片隅に組み込まれ、毎日、毎日、やりたくも無い仕事に追われ、一体、俺は何をやっているのだ?と言う絶望感でいっぱいの人生になっていました。
そんな時、ある先輩が東南アジアなら20万、30万あれば数ヶ月、余裕で旅が出来るよと教えてもらったのです。30万円くらいならすぐに貯められます。俺は今すぐ、このクソみたいな人生から逃げ出して、旅に出たいと思いました。
それから約18年。
俺の人生は、どのように変わったのでしょうか?これは、夢や希望に満ち溢れたキラキラとした旅の物語ではなく、クソみたいな人生からの逃げ出す物語です。
東南アジア旅行記 上巻: クソみたいな人生から逃げ出す旅 (世界遺産ハンター出版)
商品紹介ページより引用。全文はこちらから。
この本は日本で普通に就職し、いわゆる普通の生活を送っていた著者が、初めて世界に飛びだし冒険を繰り広げる話である。
これは著者がまだ”世界遺産ハンター”になる前の話で、この本の中にいわゆる”世界遺産”の話が登場しないことにはあらかじめ言及しておく。
日本での生活に疲弊していた筆者は、お金を貯め、一人旅でタイのバンコクからインドネシアのバリ島までの旅行に挑戦する。
行く先々ではのんびりと過ごしたり、ハプニングを乗り越えたりする。そしていろいろな人と出会い、別れていく。すべての出来事を新鮮に、感情的に受け止め、著者の中の価値観が大きく変化していく。
この本は上巻なので旅行記は途中で終わっているが、続きが読みたくなるようなそんな作品だった。
Kindle版だが250円という値段もお手軽で、とても読みやすい印象である。
感想
一言で言うととても面白かった。
東南アジアの旅行記は数あれど、この方の表現力・文章力はブログで鍛えられているのか、やはりとても上手い。
旅行記に出てくるタイの島々やマレーシアには行ったことがないのだが、まるで自分が旅をしているかのような、そんな気分になった。
そして、一人旅の醍醐味とも言える人との出会い。この旅行記の中にもたくさんの魅力的な人との出会いがある。旅をしていると変わった人に出会うことが多い、というと語弊があるが珍しい体験を持っている人が多い。
この本だけでもいろいろな人との出会いがある。記憶から消えてしまうような人もいるのだが、その人の特徴や出会ったときに思ったことなどが描写ができるのは日頃から旅行日記をしっかりとつけているからなのだろう。
人生初の海外一人旅は、起こることすべてが新鮮である。自分の海外一人旅はドイツであったが、このときの経験は今でも忘れることが無い。それくらいすべてが新鮮だった。
今でこそ年に何回も海外に行くようになり、慣れてしまったためか緊張感というものも薄れつつある。この本では初めて海外旅行に行っていたあの頃の緊張感を思い出させるような、懐かしい気持ちになった。
すらすらと読めるようなテンポの良い文章かつ、価格もお手軽なので海外旅行に興味のある方や何度も旅をしている方に自信を持っておすすめできる、そんな一冊である。
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