グウィネズのエドワード1世の城郭と市壁
目次
日帰り難易度★★★★★
グウィネズのエドワード1世の城郭はウェールズの西端に位置し、ウェールズを征服したイングランド王エドワード1世によって12-13世紀ごろに建築され、防衛の要として使用されました。
ウェールズを制圧したエドワード1世がグゥイネズ(ウェールズ)に築いた城は全部で10ヶ所あり、そのうち4つが1986年に世界遺産に登録されました。構成遺産は「コンウィ城」「カナーヴォン城」「ボーマリス(ビューマリス)城」「ハーレック(ハーレフ)城」です。4つの城はそれぞれ場所が離れており、リヴァプールから最も近く、交通の便が良いのがコンウィにあるコンウィ城です。
その他の城はバスや私鉄を乗り継いで訪れることになりますが、ウェールズの先端なのでいずれも交通の便が悪く、非常に訪れにくい世界遺産と言えます。
コンウィの行き方
構成資産の4つの城の位置と大まかな交通、所要時間。
●北部ウェールズ探索の起点となるのはチェスターで、リバプールからチェスター駅へは鉄道で50分、ロンドンからチェスター駅へは鉄道で2時間ほどかかります。
●構成資産の4つの城のうち、最も訪れやすいのは鉄道で行くことができるコンウィ城です。コンウィ城へはコンウィ駅またはスランドゥドゥノ・ジャンクション駅から徒歩で訪れます。チェスター駅からスランドゥドゥノ・ジャンクション並びにコンウィ駅は鉄道で片道1時間半です。
●チェスターからコンウィ城へはバンガー行きかスランドゥドゥノ行きの鉄道に乗ります。ただし、急行はコンウィ駅には止まらないので注意が必要です(一つ手前のスランドゥドゥノ・ジャンクション駅には止まる)。スランドゥドゥノ・ジャンクション駅までの列車は多いですが、コンウィ駅に止まる鉄道の本数はそれほど多くありません。
●コンウィ駅からコンウィ城へは徒歩3-5分、スランドゥドゥノ・ジャンクション駅からは徒歩10分ほどです。コンウィ城は階段が多く、足場が悪い場所もあるので動きやすい服装での見学がおすすめです。
チェスターから海沿いの線路を進んでいく。景色が綺麗なので退屈しない。
コンウィ駅。ウェールズの北部にあるとても小さな街で、鉄道の本数も非常に少ない。
コンウィ城へはコンウィ駅が最も近いが、各駅停車しか止まらないという難点がある。
コンウィ駅前。商店も小さく、飲食店もあまり見られない。駅から城へは5分ほど。
町は城壁で囲まれており、この市壁も構成資産。この城壁に沿って歩くとコンウィ城の入り口に着く。
コンウィ城の入り口には小さな駐車場がある。4つの城の中では最も観光客が多い。
一駅手前のスランドゥドゥノ・ジャンクション駅。2路線の乗換駅で快速も止まる大きな駅。
スランドゥドゥノ・ジャンクション駅を出てから西方向に進んでいき、大きな橋を渡る。
しばらく進むとコンウィ城が見える。入り口はこの道路の先。
コンウィ城
1288年に完成したと言われるコンウィ城はウェールズの防衛拠点として大きな役割を果たしました。エドワード1世が築城した10の城郭の中で最も保存状態が良いと言われています。
イングランド内戦を経て17世紀ごろには多くが解体され、廃墟となりましたが、18-19世紀以降になると城の芸術性が再評価され、復旧工事が行われるようになりました。
城郭は東西に広く125m、南北方向に約40mで、城には高さ約21mの尖塔が8か所あります。いくつかの尖塔には登れるようになっており、塔からはコンウィ川河口を一望できます。
開館は夏季9:30-17:00、冬季10:00-16:00で、12/24-12/26及び、1/1が休館日です。
コンウィ城のチケットオフィス。ショップやトイレもこの建物にある。
チケットを購入後、坂を登って城の入り口まで向かう。
コンウィ城の大きな入り口の門。ここを入ると中庭部分に出る。
8つの尖塔と外壁が残るコンウィ城。中庭部分に屋根は無く、空が見える。
尖塔の上から見ると城の全景を一望できる。高さは21mほどで、6回分に相当。
尖塔から見た城郭とコンウィ市街。街に伸びる市壁も確認できる。
城は大きな川に面しており、城にかかる橋(通行不可)の両脇に、鉄道が通る橋(右)と車道(左)が通っている。
城内には貯蔵庫や井戸、詰所や牢獄など様々な施設が供えられていた。
大広間と思われる部分。屋根は崩落しているが、部屋の仕切りは残っている。
城の内部は外敵に備え、迷路のように入り組んでいる。
カナーヴォン城の行き方
●グウィネズのエドワード1世の城郭の構成資産の一つ、カナーヴォン城はウェールズの西端部分に位置しています。鉄道でバンガー駅まで向かった後、バスに乗り換えます。バンガー駅からバスターミナルは少し離れており、5-7分ほど歩きます。
●バンガーのバスターミナルから5Cのバスで終点まで向かうとカナーヴォンに到着します。バスの本数は体感で20分おきくらいで、比較的多いです。
●カナーヴォン城はコンウィ城と比較すると見学できる場所がそこまで多くないので、滞在時間は30-45分ほどといった所でしょう。
バンガー駅。チェスター駅から電車で2時間、コンウィからは電車で約20分。
バンガーは世界遺産の城巡りの起点となる町。大きな町なのでここで一泊するのも良い。
バンガー駅正面の大きい道路を下っていくとバスターミナル。左手にはバンガー大学が見える。
バンガーからカナーヴォンはバスで30分。着いたら徒歩すぐのキャッスルスクエアを目指す。
旧市街の南側、キャッスルスクエアに大きな城がそびえている。目立つのですぐわかる。
中世ウェールズをそのまま残したようなカナーヴォンの美しい街並み。
カナーヴォン城
カナーヴォン城は世界遺産に登録されたグウィネズの城のうちで最も長い約50年という年月をかけて建てられ、1330年に完成しました。この城の建設には莫大な資金がかけられており、居城としての過ごしやすさも重視されたため、各部屋が広くなっています。一方で、資金不足等もあり、城の内部構造には完成しなかった場所も多く残っているのだそうです。
カナーヴォン城は、物資の輸送を行いやすい、また防衛戦略上で非常に重要であるという観点から、メナイ海峡の河口付近に建設されました。城の南西側はサイオント川が流れています。
過去にはプリンス・オブ・ウェールズの叙位式典が行われたこともあります。現在では内部は整備され、その一部は博物館のようになっているほか、いくつかの尖塔には登ることができます。
開館は夏季9:30-17:00、冬季10:00-16:00で、12/24-12/26及び、1/1が休館日です。
美しいたたずまいのカナーヴォン城。キャッスルスクエアは東側の端に当たる。
城の入り口は北側にあるので、道路に沿って歩いて行く。
北側にあるキングズゲートが唯一の入り口。スロープも着いているので安心。
この門でチケットを購入して中に入る。右手にはお土産売り場がある。
入り口を入ると中庭に出る。順路は無いため、自由に歩いて見学する。
城の内部には大きな中庭があり、その周りを8つの塔と城壁が囲む。
4つの城の中ではもっとも有名で、観光客の数が一番多かった。
城の内部も一通り歩くことができるが、とても狭く、一方通行の通路もあるので注意。
中世後期、カナーヴォンはウェールズの実質的な首都として機能し、繁栄を極めた。
50年近い年月をかけ、多額の建築費を費やして建てられたため、防衛構造もしっかりしている。
城のすぐ裏手には大きな川があり、物資の運搬や軍事戦略に使用された。
17世紀以降に一度廃棄されたが、19世紀後半ごろから、保護修復が再開された。
城の裏手の歩道橋は可動式になっており、船が来ると回転する仕組みになっている。
小舟は頻繁に通るので、西側の尖塔で待っているとすぐに見られる。
ボーマリス (ビューマリス) の行き方
●ボーマリスはウェールズ北西の島、アングルシー島に位置しています。島ではありますが大きな橋で繋がっており、バスで往来することができます。
●バンガーのバスターミナルから56番、または57番のバスに乗車します。バスは城の前まで行くので降り間違えないように注意しましょう。所要は片道40分前後です。
●体感ではバスは約30分に一本ほどです。島をつなぐ橋付近で渋滞するので、バスはやや遅れがちです。時間に余裕を持っておきましょう。
バスに乗ってアングルシー島に向かう橋を渡る。この付近は渋滞が頻繁に発生する。
40分ほどで小さな町、ボーマリスに到着する。島なので交通の便はやや悪い。
バスを降りると目の前にボーマリス城のチケットオフィスがあり、背後に城が構えている。
ボーマリス (ビューマリス) 城
エドワード1世が築いた城のうち、一番最後に建てられたのがこのボーマリス城です。1295年に建築が開始されましたが、資金難もあり約30年の建築期間を経て未完成のまま放置されました。
水で囲まれた外堀と二重の城壁構造が特徴の城ですが、他の城に比べると規模が小さく、全体の大きさもややこぢんまりとした様子です。6角形の外郭と4角形の内郭からなるボーマリス城は、歴史家アーノルド・テイラーによって”対称的な同心円型城郭建築の例”として評価されています。
城の裏手は放牧地になっており、のどかな草原の中にポツンと廃城がある形になっています。城からはウェールズ本土の雄大な自然とメナン海峡を眺めることができます。
開館は夏季9:30-17:00、冬季10:00-16:00で、12/24-12/26及び、1/1が休館日です。
チケットを購入後は道に沿って城の正面に向かって歩いていく。
ボーマリス城は周りを水で囲まれているという特徴がある。
ボーマリス城の入り口。分厚い外壁が出迎えてくれる。
内部は尖塔も無く、他の構成資産と比較するとかなり小規模な要塞という印象を受ける。
城壁の上は歩くことができる。内壁は厚いところで5m近くにもなる。
城壁は高いところで約11mと、他の城に比べるとやや低くなっている。
城の裏手側の重厚な造りの門。壁面には見張り穴が開いている。
ボーマリス城は内外二層の壁に守られており、内壁からも攻撃できるような構造になっている。
城の裏側は牧草地になっており、ウェールズののどかな自然を味わえる。
城の大広間と思われる部分。資金難で未完成のまま終わってしまった。
緻密な石積みの城壁は建築技術と美しさの両面で評価されている。
メナン海峡を挟んで反対側にはウェールズ本土が見える。
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