ラトゥナプラから自力でシンハラージャ森林保護区に行く
宝石採掘の町ラトゥナプラからはスリランカで最も訪れるのが困難な世界遺産、シンハラージャ自然保護区にアクセスすることができます。
しかし、この世界遺産は現地のスリランカ人ですら行き方を知らない人もおり、ネットでも行った人がほとんどいないという、まさに秘境の世界遺産です。
まず、ラトゥナプラのセントラルバスターミナルに行き、ここで情報収集をします。
朝早く、ラトゥナプラの大きなバスターミナルに繰り出した。
シンハラージャと言ってもなかなか伝わらず、そもそも知らないという人もいました。なんとか聞いたことによると、どうやらここから直接向かうことはできず、カラワナ(kalawana)という小さな街で乗り換えるそうです。
ということでここからバスに乗って南下し、ガイドブックにも載らないような小さな街カラワナを目指します。すっかり車窓は森の中、うっそうとした道を進みます。
1時間半ほどで何もない小さな街、カラワナに着いた。
トゥクトゥクが行き交い、いかにも東南アジアの雰囲気が漂う。
この町に来る外国人が珍しいのか、降りてそうそう親切なスリランカ人が声を掛けてくれました。シンハラージャに行きたいと言うと、バスが来たら教えてあげるから待っていてと言われ、バスを教えてもらいました。
自力でシンハラージャ行きのバスを探すのは困難でしたが、親切なおじさんに別れを告げて、一台の小さなバスに乗り込みました。
このバスはクダワに向かうバスで、2台のバスがカラワナ-クダワを往復しているそうです。このバスはさらに田舎の方を走って行きます。地元の人しか利用しないような路線で、時々停まりながら走って行きます。
カラワナから1時間ほどで、運転手さんにここから歩いて行くんだよと、誰もいない道ばたに降ろされました。
乗ってきた白いバスはそのまま走り去っていった。
なにもない森の中に降ろされ、驚きましたが、とりあえず運転手さんが教えてくれた道の方へ歩いて行きます。
道ばたにシンハラージャ世界遺産の文字があり、一安心。
世界遺産の観光地とは思えない細い道をひたすら登っていく。
だんだんと木々の生い茂る森の中に入っていく。降りた場所からはかなり登ってきた。
歩き続けること15分、ようやく大きな駐車場のような場所に到着した。
開けた場所に着くと、子供達の大きな声が聞こえてきました。彼らは学校の研修かスポーツクラブの集まりかで来た子供達のようでした。一緒に回るとうるさそうだなあなどと思いながら進んで行くと、一件の山小屋に到着しました。
こちらがシンハラージャ森林保護区のシンボル的な建物で、公園のゲートでもある。
世界遺産、シンハラージャ自然保護区の表記があった。
こちらの森林事務所で手続きや散策の準備を行う。
シンハラージャ森林保護区は勝手に入ることができず、許可を受けたガイドさんが同行します。この方が森林内の動物や植物を案内してくれます。
所要はだいたい2~5時間くらいまで、好きなようにアレンジして散策することができます。一般的なのは1時間半~2時間の散策コースで、比較的歩きやすい道を散策します。
さらに、保護区内の山を登るコースだと4時間くらいかかるとのことだったので、今回は2時間コース+αの道を選びました。
入場料はそれほど高くありませんが、入場料とは別に足下を保護する防護布を購入します。公園内にはヘビやとげのある植物がいるので、足を保護するのだそうです。
保護布をはいた後で靴をそのまま履くので足下がむずがゆくなる。
準備ができたので散策開始。ガイドの青年と2人きりで入ることになった。
さっそく、大蛇が木の枝に巻き付いているのをガイドが発見して大興奮。
他にもちらほら観光客は見かけましたが、さすがに海外からの観光客はほとんどいないようでした。やはりアクセスの悪さから人は少ないようです。
スリランカのレインボートカゲ。こうした小動物が多数生息する。
途中のゲートでチケットを確認され、奥に進んでいく。
先を行くガイドの青年がいなければ迷ってしまいそうなジャングルである。
森の中を少なくとも2時間は歩くので、体力に余裕を持っておくことが大切です。昨日ゆっくり眠れたので大丈夫でしたが、ややアップダウンもあり、道も舗装されていないので歩くのはなかなか疲れます。
そして足は先ほどはいた防護布で歩きにくく、森林保護区内は熱帯雨林で湿っており、蒸し暑いです。水はラトゥナプラ、または小さな街カラワナで十分量を確保してから訪れましょう。
森林保護区内で一番の見所と言われるマザーツリー。樹齢は300年以上にものぼるとか。
巨大なマザーツリーは離れた場所からでも見え、とても目立っている。
中心部にある観測所。特に見所は無いが、一応散策の目印になっている。
シンハラージャ森林保護区内ではこのほかにもたくさんの珍しい植物や珍しい動物、昆虫に遭遇しました。プロのガイドがしっかり同行して案内してくれるのでとても楽しいです。
散策は入口となる森林事務所からこのマザーツリーを通るコースと山奥をがっつり散策するコース、それにプラスしてこの観測所を見るコースがあるようです。
成人男性の自分がマザーツリー周遊と観測所に寄り道して2時間半ほどだったので参考にしてみてください。
ただし、気をつけたいのが帰りの時間で、シンハラージャ付近には家すらほとんど無く、カラワナまではバスで1時間、ラトゥナプラへ戻るにはさらに1時間半かかりますから、遅くなりすぎないように気をつけましょう。
こんな細い丸太を渡っていく。ジャングルを冒険している気分になれる。
マルタは湿っているので滑る。一応左手にツタで作った手すりがある。
透き通った川には小魚が泳いでいた。生態系が保存されている証拠である。
セイロンヤケイと呼ばれる野生のニワトリ。雉の仲間なのだそう。
美しい羽模様の蝶。次から次へといろいろな生物に遭遇する。
そして突然道ばたの草の茂みが揺れたと思ったが、ガイドさんが興奮して教えてくれました。
“蛇がレインボートカゲを食べようとしているよ!!”
すかさずカメラを構えると、鮮やかな色の蛇が今まさにトカゲを丸のみにしようとしているところでした。ヘビ対トカゲの攻防は2-3分ほど続き、トカゲが脱出したところで勝敗がつきました。
トカゲを逃したヘビはすごすごと茂みの中に消えていった。
野生を間近に感じた瞬間でもありました。いろいろな生き物を見ながら歩いてきましたが、ぐるっと回って森林事務所に帰ってきました。
2時間半のツアーは終了。とても貴重な体験ができた。
自然動物にたくさん出会い、とても貴重な体験ができました。ここまで来るのはとても大変だし、かなりの辺境の地なので勇気もいりますが、とても満足でした。
シンハラージャ自然保護区には大きな滝や景色のような”景観美”こそありませんが、数時間ジャングルの中を歩きスリランカの生物を観察するのも良いと思います。
さて、朝早くラトゥナプラを出てきたつもりでしたが、気がつけば昼の13時半。ここから森林事務所の前の道を降りてバス停に向かいます。足の保護布は記念に頂きました。
森の中の森林事務所。観光客の姿はほとんど無い、まさに秘境の世界遺産だった。
さて、この日の観光は終了ですが、ここからローカルバスを何本も乗り継ぎ、スリランカで残った最後の世界遺産がある街、ゴールを目指します。
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