古都メクネスの行き方
目次
日帰り難易度★★☆☆☆
古都メクネスは地中海のオリーブ畑が広がる草原の中に栄えた町で、当時の文化を象徴する様々な建物が見られます。この町は南のマラケシュや東のフェズと異なり、落ち着いた印象があります。
出店の呼び込みや押し売りも少なく、優雅なイメージを受けました。メクネスへはカサブランカからフェズ方面行きの電車に乗り、約3時間ほどで到着します。
途中で車両の乗り換えをさせられることもあるので注意してください。見所は新市街から30分ほど歩いた先にある旧市街に集中します。歩くと坂道をひたすら登ることになるので、バスやグランタクシーを使うのが便利です。
古都メクネス
「古都メクネス」の指定範囲は高い城壁に囲まれた稜堡部分になります。古くは首都として栄えたため、王宮や広大な庭園、モスクなどが指定範囲内に点在しています。王宮庭園等が含まれるため範囲は広いですが、見所はマンスール門があるエディム広場周辺と店が建ち並ぶエリアに集中します。
1.メディナ /the vestiges of the Medina
メクネスのメディナへは、アミールアブデルカデル駅のある新市街から離れた位置にあります。新市街をいったん下っていき、旧市街へ上り坂を歩いて行くと、高い城壁のあるメディナが見えてきます。エディム広場を横切って奥へ進んでゆくと、活気のある市場へつながっています。観光客も少なく、呼び込みに声をかけられることも少ないので、ゆっくり買い物を楽しめるはずです。
アミールアブデルカデル駅。メクネスには駅が複数あるが、最も町に近いのはこの駅である。
新市街を通り抜けると大きなラウンドアバウトにでる。向こう側の丘の上が旧市街。
長い上り坂が続くのでだんだんつらくなってくる。両脇には飲食店が多い。
しばらく登っていくと、左手に大きな城壁が見えてくる。
さらに5分ほどでエディム広場に着く。マラケシュと比べると少しさみしい印象を受ける。
広場の奥がたくさんの店が建ち並ぶ広場。観光客は少なく、地元民向けの印象が強い。
食べ物をたくさん売っているスーク。日本では見ないような食品も多い。
靴を売っているスーク。値段は交渉制だが基本的に日本と比べると安い。
生活雑貨をうっているスーク。人々の暮らしぶりを伺うことができる。
売り物の絨毯に座ってしまう猫がいた。モロッコならではの光景といえる。
2.城壁群 /high defensive walls
メクネスは内部に王宮が有り、防衛機能を備えたいわゆる要塞としての側面が強かったため、立派な城壁が残されています。壁に挟まれた道は、狭い通路を強風が吹き抜けるため、「風の小道」とも呼ばれています。
他の都市と比べると壁が高く造ってある。
壁内外の出入りを制限するため、出入り口のトンネルは小さく造ってある。
車は片道ずつしか通れないようになっている。
王宮の南側にある城壁に挟まれた通路は通称「風の道」と呼ばれ強風が吹き抜ける。
この通路は端が見えないほど長く続いている。
3.9つの城門(マンスール門など) /nine monumental gates
メクネスで最も有名な見所はマンスール門で、この門はエディム広場に面しています。王宮に続く門であったことからその装飾には磨きがかかっています。この門以外にも、町の入り口にはいくつかのきれいな門が残っています。町の外れにあるためそれぞれの門は離れた位置にありますが、それぞれ模様も異なるので時間があれば巡ってみるのも面白いと思います。
町の中心に位置するマンスール門。観光客の姿も多い。
目の前には大きな道路が通っているため交通量が多い。車には注意。
手前がエディム広場で奥に見えているのがマンスール門である。
町の北端に位置するベルダン門。ここまで来ると町の雰囲気も変わる。
ベルダン門を抜けると地中海風の緑豊かな草原とベルフォーン山が一望できる。
かなり崩壊が進んでいるが、装飾はよく保存されている。
4.25のモスク(グラン・モスクなど) /twenty-five mosques
イスラム教では一日のうち5回お祈りをするしきたりがありますが、日中はモスクを訪れてお祈りを行います。そのため、街の中心にはお祈りのためのモスクが点在し、よく保存された素晴らしい建物も世界遺産の条文に記載されています。グラン・モスクは町のシンボルとなっていますが、イスラム教徒以外は立ち入ることができません。
グラン・モスクの緑色のミナレット。奥の方にも別のモスクのミナレットが見える。
建物の屋上から見ることはできるが、内部に入ることはできない。
ブー・イナニア・マドラサ
グラン・モスクのすぐ近くにある神学校です。学生たちが過ごしていたと思われる部屋や、水で体を清めたと言われる中庭の噴水、イスラム様式の細かな装飾などが見学できます。メディナの中を通り、屋根のある大きな商店街の交差点に入り口が面しています。入り口はとてもわかりにくいのですが、日本人の訪問者が多いのか日本語の看板が掛かっています。入場は10DHです。
ブー・イナニア・マドラサの入り口。両脇は普通の焦点なので見分けづらい。
神学校の中庭。この水で生徒は体を清めたという。
内部の装飾は日本の学校では考えられないような豪華な装飾が施されている。
中庭に面した廊下。一つ一つの部屋は小さいが中庭に面しているので採光性に優れている。
2階に上がるとさらに学生寮が続く。一人が暮らせる部屋はとても狭いという印象だった。
5.10のハマム(浴場) /ten hammams, palaces
ハマムとは公衆浴場のこと。モロッコには各町にハマムがあり人々に親しまれています。非イスラム教徒でも利用することができます。
6.王宮 /palaces
ムーレイ・イスマイル朝時代王都となっていたメクネスは南側に広大な王宮と庭園が広がっています。モロッコではこうした王族関係の建物はすべて立ち入ることができず、また外から写真を撮ることもできません。カメラを構えると警備兵が声をかけに来るので注意しましょう。
7.穀物庫、フォンドゥーク、住居 /vast graneries, vestiges of fondouks (inns for merchants) and private houses
メディナ内の建物が世界遺産に指定されており、前述した建物以外にもいくつか見所があるので紹介しておきます。
ムーレイ・イスマイル廟
この地に王国を築こうとしたムーレイ・イスマイルの遺体が安置されている霊廟です。豪華絢爛な内部は非イスラム教徒も入ることができます。長期にわたる改装工事中のようで、2018年4月末時点では大規模な工事が行われていました。
エディム広場からは歩いて15分ほどの位置にある。
正面では大規模な外装の工事が行われていた。
クベット・エル・キャディン
招待した客との謁見や各種の催事の際に使われたという場所です。部屋一つ分なので入っても何もないという印象でした。アーチ構造は見られますが、イスラム建築特有の壁の装飾はなく、シンプルな造りになっています。
入ると大きな部屋が一つある。内装はとてもシンプルな仕上がりになっている。
キリスト教徒の地下牢
ムスリム支配下であったこの地において、異教徒であるキリスト教徒を収監したとされる地下牢です。写真では明るく見えますが、内部はとても暗く、外の気温とうってかわってひんやりとしています。当時は最大で4万人を超える人々を収監したとされており、現在では穴を開けて採光していますが、当時は穴もなく真っ暗であったといいます。
地下牢の入り口は小さく、目立たない。
地下牢へは狭い小さな階段を降りていく。
内部は大きな造りとなっている。写真では明るく見えるが実際はとても暗い。
この地下空間に何万人もの人々が収容されていたという。
この場所は肌寒く、穀物倉庫としても使われていたという。
反対側の入り口。この下に先ほどの地下空間が広がっている。
入り口の周りは柵が巡らせてあり、牢屋としての機能を思い起こさせる。
両脇に地下牢への階段が見える。この下に大きな地下空間が広がっている。
次の世界遺産へ
フェズのメディナ 【モロッコ】 日帰り難易度と行き方 / No.7
前の世界遺産へ
ヴォルビリス考古遺跡 【モロッコ】 日帰り難易度と行き方 / No.5
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