アイアンブリッジ峡谷
目次
日帰り難易度★★★★★
アイアンブリッジ峡谷はイギリスの産業革命を代表する世界遺産です。エイブラハム・ダービーが鉄の精錬技術を発見し、鉄の生産が行われるようになると、この渓谷は産業革命の中心として製鉄技術をもとに繁栄しました。
この地を流れるセヴァーン川には現在の名前の由来となった鉄製の鉄橋、アイアンブリッジがかけられました。1781年に開通したこの橋は、現存する最古の鉄橋としても貴重な遺産です。
シュルーズベリーからバスでのアクセスになりますが、バスの本数が極端に少ないうえに日曜日は全面運休という、交通の便が非常に悪い世界遺産です。
筆者訪問時は鉄さび色のような緑色がかった橋でしたが、2017-2018年前後で大規模な修復、塗装が行われ、現在はアイアンブリッジは赤色に近い色となっています。
アイアンブリッジ峡谷の地図と見どころ。
シュルーズベリーの行き方
●シュルーズベリーはイングランド中部、ウェールズとの境に位置しています。鉄道でのアクセスが非常に悪く、ロンドンからはバーミンガム経由で3時間ほど、リバプールからは2時間ほどです。
●さらに、シュルーズベリーからはアイアンブリッジ峡谷までテルフォード行きの96番バスに乗りますが、8:50、10:50、12:45、14:50、17:05、18:05の1日6便しかありません。博物館等の閉館時間も考慮すると14:50までの便が限界で、実質1日4便しかありません。また、日曜日は上記バスは全面運休となります。
●お金はかかりますがシュルーズベリーやテルフォードからタクシーを利用するという手段もあります。車で片道20-30分ほどです。
●アイアンブリッジ峡谷は見どころが広範囲に散在しています。アイアンブリッジ単体はバスターミナル徒歩圏内にありますが、鉄博物館やブリスツヒル・ビクトリアン・タウンなどは数km離れています。帰りのバスの時刻を計算して見学しましょう。
シュルーズベリー駅。きれいな外観を持っているが、乗降客は少ない。
アイアンブリッジ峡谷行きのバスが止まるバスターミナルへは駅正面の道を下っていく。
シュルーズベリーのバスターミナル。ここでテルフォード行きの96番バスを待つ。
30分ほどで山の中間にあるアイアンブリッジ峡谷のバスターミナル兼駐車場に着く。
アイアンブリッジ峡谷の地図と世界遺産見どころまとめ。
アイアンブリッジ峡谷
シュルーズベリーの山奥にひっそりと架かるアイアンブリッジは、その名の通り鉄橋で、現存する世界最古の鉄橋です。産業革命当時製鉄で栄えたこの都市は、当時峡谷を流れるセヴァーン川によって2分されており不便でした。
これを解消するため、マシュー・プリチャードによって設計され、全長60m、高さ約30mの巨大な橋が建設されました。これにより、生産性が飛躍的に上昇したといわれています。
アイアンブリッジの近くには峡谷博物館があります。小さな博物館で展示も少ないですが、産業革命当時のアイアンブリッジ峡谷の歴史を学ぶことができます。
また、1kmほど離れた山の中腹には鉄博物館やダービーハウスがあります。この鉄博物館では当時の精錬窯や線路なども保存されており、見学することができます。時間があれば橋だけでなく、この博物館まで足を延ばすのもおすすめです。
峡谷博物館、鉄博物館、ダービー・ハウスは共通券もありますが、ブリスツヒルに訪れないと元が取れない仕様です。
筆者訪問時アイアンブリッジは明るい緑色に近い色でしたが、2017-2018年ごろイングリッシュヘリテッジが主導して行った大修理により、現在は赤い色に塗装されています。
バス停からアイアンブリッジまでは少し距離があり、5-6分ほど歩く。
アイアンブリッジに到着。現存する世界最古の鉄橋。
全長は60m。中央部がやや上に上がっており、支えはアーチ状になっている。
橋のたもとに立つのは第一次第二次世界大戦の戦死者を弔う戦没記念碑。
アイアンブリッジは歩行者のみ通行が可能。無料で渡れる普通の橋である。
橋を渡った先は、かつて産業革命で大いに栄えた住宅街に続いている。
橋の上から見るとセヴァーン川と山、峡谷の美しい光景が見られる。
下から見上げると、鉄製のアーチを間近で見ることができる。
筆者訪問時(2016年)は薄い緑色だったが、現在は赤色に塗装されている。
峡谷博物館
峡谷博物館はセヴァーン川のほとりにある小さな博物館です。アイアンブリッジ峡谷での製鉄や運搬、生活などに関する展示があり、アイアンブリッジから歩いて5分ほどです。
館内には、水路を利用して遠くまで物資を運搬していた名残である、川まで続くレール跡があります。この博物館はとても小さな博物館なので、時間のある方は後述の鉄博物館もお勧めします。
衰退して使われなくなった施設を再利用した峡谷博物館。
川まで続くトロッコのレール跡。産業革命を支えた様々な技術が展示されている。
館外のセヴァーン川からは遠くにアイアンブリッジが見える。
鉄博物館
鉄博物館は、セヴァーン川から1.2kmほどゆるやかな山道を30分ほど登ったコールブルックデールという場所にあります。もともと製鉄工場であった場所を博物館として利用しているため、当時の窯やトロッコの線路など当時の製鉄技術に関する様々なものが残っています。
博物館内は展示も多く複数階に渡っているため広いので時間はかかりますが、非常に勉強になります。後述のダービ-・ハウスと合わせて、余裕があればこちらにも足を運んでみることをおすすめします。
12/24,25と1/1が休館日で、開館時間は10:00-17:00(冬季は-16:00)です。
川を離れてしばらくすると山道になっていく。道に迷うことはないが少し怖い。
採鉱、製鉄はこの周辺で行われ、コールブルックデールは産業革命の中心であった。
博物館前の駐車場。奥の三角の建物が溶鉱炉で、その後ろにトロッコのレールがある。
左の建物が倉庫で、正面に見えるのが鉄博物館。
鉄博物館入り口。峡谷博物館よりも大きく、展示も充実している。
コークスを使った製鉄の発明者エイブラハム・ダービーに関する展示など充実している。
溶鉱炉は三角形の建物で保護されている。裏手にはトロッコ列車の跡が残る。
今現在は廃墟のようになっている工場跡。レンガ造りの土台部分のみが残る。
建物内部の溶鉱炉。通路のサイズと比べると窯がとても大きいことがわかる。
上から覗き込んだ形の溶鉱炉。全盛期には大量の鉄がここで精錬されていた。
裏手の線路は鉱石や鉄材などを効率よく運搬する目的で使用された。
運搬に使用されたとされる鉄道が一部保管されている。
ダービー・ハウス
アイアン・ブリッジの生みの親、エイブラハム・ダービー3世が使用していたダービー・ハウスは現在博物館のようになっています。当時のダービーの暮らしを再現した部屋があり、彼らに関する展示が中心です。鉄博物館から近く、トロッコの線路を超えた先にあります。
コークス製鉄を発明したエイブラハム・ダービーから数えて3代目のダービーは、アイアンブリッジの設計、建設に携わり、このダービー・ハウスに居住していました。ダービー家は40~50代で亡くなる人が多く、孫である3世はダービー1世の死後に誕生しています。
ダービー・ハウスは溶鉱炉を正面に見て左手の線路の下をくぐっていった先にある。
おしゃれな外装の館。彼がそれなりにぜいたくな暮らしをしていたことがうかがえる。
ダービー家の食卓。内部はダービー家の当時の暮らしが再現されている。
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