カンボジア・タイ旅行記 2 / 後編
この記事は2日目の記事の後編です。前編は下記リンクからどうぞ。
シェムリアップ→アンコール遺跡群→ロリュオス遺跡群→シェムリアップ
カンボジア滞在2日目。あまりに長すぎる一日であったため、ちょうど昼ご飯を食べたところで前回の記事は終わっていました。アンコール・トムからの再開です。
ドライバーのおじさんとの待ち合わせまで時間があったのでふらふらと周囲の遺跡も見学しておく。
レストラン街の裏手にあったのはプリア・ピトゥ。
見学は可能だが崩壊が進んでおり、足下が不安定であった。蛇の神ナーガの欄干が残っていて印象的だった。
そして少し歩いてプラサット・スゥル・プラットを見た。
同じ尖塔が12基並んでいる不思議な光景のプラサット・スゥル・プラット。
その一つに歩み寄ってみた。塔の間に綱を張り、綱渡りをしたという説から”綱渡りの塔”という名もある。
いろいろな名前の遺跡を見てきたが、どれも少しずつ異なっており、それぞれ別の役目を担っていたということを実感した。
ここでようやくドライバーのおじさんと合流して次のスポットへ。この頃にはこのおじさんとはすっかり意気投合し、仲良くなっていた。おじさんもうれしくなったのか、たくさんのスポットへ案内してくれた。
こちらはすでに疲れて足腰限界なのだが。
いよいよ次は植物に絡まれたタ・プローム遺跡!!の前に、もう一つ別の遺跡に連れて行ってくれた。
それが、このタ・ケウである。
アンコール・ワットの前に着工されたが、王の死によって未完のまま放置された。
これはまた大きなピラミッドである。着いた瞬間またかと面食らったが、馬鹿と煙は高いところがお好きとはよくいったものだ。
さあ、登りましょう。
この写真からもわかるように、斜面は急で手すりもないのでこれまで訪れたどの遺跡よりも怖かった。
観光客が訪れるので足場もすり減っており、滑りやすい。体力に自信の無い人は外側からの観光だけで十分である。
未完のまま放置されていたため壁画彫刻もなく、装飾もない。つまり見所がない。
未完成の資材が積み上がったまま放置されていた。また、このタ・ケウはアンコール・ワットを作る前の練習として建設されたという。組み上がる前のアンコール・ワットと考えると、石を積み重ねただけのピラミッドにも趣を感じる。
周りはジャングルが広がっている。カンボジアらしい風景である。
壁面装飾がない無骨な遺跡。装飾前に工事が中断されてしまったゆえに見られる光景。
タ・ケウの見学をさくっと終えていよいよタ・プロームへ向かう。ここは人気の観光地であるため、観光客がたくさんいた。また、お土産を押し売りする現地人も多く、とてもしつこかった。
入り口と出口が異なるので、おじさんとは反対側で待ち合わせる。
さすがの観光地。観光客やツアー団体がどんどんと押し寄せてくる。
もともとは仏教寺院であったが後にヒンドゥー教系に改築されている。
森林の中にひっそりとたたずむ寺院であった。この寺院は自然の驚異を現在に伝える貴重な遺産となっている。なぜなら、
こんな風に遺跡の至る所が植物の根に侵略されているからである。
ここも巨木の根に人類の英知が飲まれてしまっている。
崩壊し、放棄された遺跡にガジュマルが進出してきたのだという。
ダイナミックな自然を感じることのできる遺跡である。この遺跡はトゥームレイダーのロケ地としても使用された、有名な遺跡である。
観光客の数がとても多く、騒がしくて萎えてしまった。
耳を澄ませば聞こえてくる中国語の嵐。そしてツアーでわいわいやってくる日本の学生達。狭い遺跡に大量の人が押しかけるので、人の映らない写真を撮るのも一苦労。
魅力的な遺跡ではあるのだが、あまりの観光客の多さに疲れてしまった。
ひっそりとした寺院を味わいたいなら早朝か夕方以降に来るべきだろう。
崩壊した遺跡は修復派と現状維持派で今でも対立しているという。
ひととおり楽しんだところで待ち合わせたおじさんの元へ歩いていった。
トゥクトゥクに乗り込んでしばらく運転する。おじさんオリジナルツアーはここが最後らしい。巨大な貯水池、王族の沐浴場スラ・スランに降ろされた。縦700m、横300mの巨大な貯水池である。
小さな石造りのテラスが設置されており、ここから池全体を眺めることができる。
広大でのどかな雰囲気が広がる。疲れていたが少し癒やされる気持ちになった。
1000年前には原型が完成しており、その後外縁が整備されたという。大きな池を背に、最後の遺跡、バンテアイ・クディまで歩いて行った。
森林の間を15分ほど歩いていく。平坦で歩きやすく、観光客もいないので静か。
歩いていると突然脇道ががさっと動いたので何かと思ったら
優雅に遊んでいるサルでした。
自然がよく保存され、その豊かな自然と共存するアンコール遺跡。他の場所では見られない光景ですね。
静かな森の中にたたずむバンテアイ・クディに到着した。この遺跡の特徴は手前に大きな舞台があること。踊り子のテラスと呼ばれている。実際にアプサラが演じられていたのだろうか。
欄干にはナーガ等の石像が掘られている。綺麗に残っているのは珍しい。
舞台に登ってみるとかなり広い印象を受ける。
どれもこれも壊れそうに見える。保全修復には日本の上智大学も参加しているらしい。
頻繁に増築された形跡があり、様々な建築様式が混合しているらしい。屋根の構造はこの遺跡独特。
遺跡の中はまるで迷路のように入り組んでいる。インディ・ジョーンズ気分を味わえる。
そんなに規模の大きい場所ではないのですぐに満足して見学を終えた。アンコールの中心遺跡群をたくさん味わえた充実した一日だったなあと振り返りながら時計を見たらまだ14時過ぎ。
トゥクトゥクのおじさんは早く終わっちゃったねーと苦笑いしていた。それならばと、アンコールの高台にあるプノン・バケンに連れてってよとお願いしたら
めちゃくちゃいやがられた。
来る途中通り過ぎちゃったから戻るのやだーとだだをこね始めたのだ。行きたくないならしょうがないとホテルに戻ろうとしたところでひらめいた。郊外のロリュオス遺跡群なら近くないか?
運賃を追加で渡すと言ったらめちゃくちゃ機嫌が良くなって、
そういうことなら早く行こうぜ!日が暮れちまう!
と、たちどころに機嫌が良くなっていった。10ドルあげて泥道の中、ロリュオスへ向かう。おじさんは臨時のボーナスにすっかり機嫌を良くしていた。
ショートカットするぜっ、と言いながら狭い泥道を走るので揺れて揺れて仕方なかった。テンションが高いのはわかるが、少し怖かった、笑。
30分ほどは走っただろうか。ロリュオス遺跡群の最初の建築、ロレイに到着した。
修復中でしたが。
さて、このロリュオス遺跡群はシェムリアップの東、アンコールワットからは少し離れた位置にある。アンコールワットが建築されるより400年近く前に立てられていたアンコール最古の遺跡群である。
年代としては800年代の建築であり、他の遺跡よりも二回りくらい古い遺跡なのである。
このバコン遺跡はもとは4基の祠が建っていたが、原型がそのまま残っているのは手前の一つで、残りは崩壊しかけている。
裏から見ると遺跡の痛み具合がよくわかる。強烈な暑さや雨期の湿気に耐えてきた証拠である。
レンガを積み重ねたような建築は、これまで見てきたアンコールの遺跡とは異なる。
4基の祠の中央部には男性器をモチーフとしたリンガがある。水を注ぐと四方に分散する仕組みになっており、豊穣を象徴していたとされる。
壁面にはいくつか綺麗な彫刻があった。優しくほほえんでいる表情の女神。
観光客の姿もなく、古代の遺跡をじっくりと独り占めした。
さて、見学も終えてトゥクトゥクの元へ戻る。
おじさんがおいしそうにアイスを食べて待っていた。
予期せぬボーナスにすっかり気をよくしたのか、終始機嫌がいいおちゃめなおじさんであった。
次に着いたのはプリア・コー。この名前は聖なる牛という意味だそうで、遺跡の前にはその名の通り牛の像がたたずんでいる。ロリュオス遺跡群の中でも最も古い建築で、正真正銘アンコール最古の遺跡である。
アンコール最古の遺跡。プリア・コーの全景。正面に3基、後ろに3基の6基の祠がある。
近くで見るとその精巧な造りに驚かされる。1000年以上前から残されているとは思えない芸術性。
遺跡の前には3体の牛の像が鎮座して守っている。ヒンドゥー教でこの聖牛はシヴァ神の乗り物ナンディンと呼ばれている。
計6つの祠が境内にある。宝物庫として利用されていたとも言われる。
トゥクトゥクに戻ると、小さい女の子が寄ってきてバナナを1本1ドルで売ろうとしてきた。こんな小さな子がお小遣い目当てで売り子をしているのかと思うと、こみ上げるものがあった。
最後の遺跡バコンは祭壇のようなピラミッド状の遺跡で、観光客もちらほら見かけた。
周りに深い堀を巡らせている初めてのピラミッド式寺院だという。
丸一日遺跡を上り下りしてものすごい疲れたが、ピラミッド式の寺院ならばやはり登るしかない。
これも建築年代は800年代と、かなり古い物である。
この遺跡の特徴は斜めの位置に像の石像、十字の位置に獅子(シンハ)の像が置かれていることである。
シンハの像。バコンは至る所に聖獣の像があり、彼らによって守られている。
バコンの頂上部。疲労がたまりにたまっていたが、この不思議な光景は一見の価値がある。
中央聖堂の祠には精巧なレリーフが残っている。
頂上からの眺め。他にビルなどもなく遠くまで見渡せて気持ちが良い。
バコンの周囲には様々な遺跡が残っている。周囲は水を張った堀に囲まれている。
一通り見て、とても満足した。ロリュオスもすべての遺跡を回り終え、シャワーを浴びて一休みするためにいったん戻ることにした。まだ16時だったが、朝早起きだったし、遺跡の登り降りでさすがに足に限界が来た。
朝焼けのアンコール・ワットから始まり、アンコール・トム、タ・プロームにロリュオス遺跡群まで数々の遺跡を堪能した充実しすぎる一日だった。
仮眠を取ってさっぱりしたので、当てもなくホテルの周囲をぶらぶらしてみた。
シェムリアップの幹線道路は夕方のラッシュアワー。車も多いがバイクの量がすごい。
地図にも名前が載っていない裏路地の商店街。露店が建ち並んでいる。
細い路地をバイクが猛スピードで駆け抜けていくのでかなり怖い。
路地の露店で、ナシゴレンのような夕飯をいただいた。遺跡見学は続くので早めに休んだ。
明日は”東洋のモナリザ”バンテアイ・スレイと”ラピュタのモデル”ベンメリア遺跡を巡る。
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