雨の中の托鉢とルアンパバーン探訪。プーシーの丘の神の足跡。
雨降る托鉢
ルアンパバーンの名物と言えば、5:30-6:30の間で毎日行われている托鉢である。2日ぶりのふかふかのベッドは吸い込まれるほど気持ちがよかったが、無理やり体を起こして朝の街に繰り出した。
5時過ぎの街並みはまだ暗く、そして霧雨が降っていた。
宿の目の前はワット・マノーロムという大きな寺院だった。
托鉢は街の各所で行われるのでどこが良いということは無いのだが、なんとなく国立博物館やサッカリン・ロードのあたりに寺院が集中しているので、そこを目指す人が多い。
日の出前の暗い道を歩いていく。すでに托鉢の準備が行われていた。
なんとなく人の流れに付いて歩いていくと、国立博物館横のワット・マイという大きな寺院に到着した。もう少し歩いても良かったが、ここには人がたくさん集まっており、規模が大きそうだったので、ここで見学することにした。
天気はあいにくの雨。空は明るくなってきたが、どんよりとしていた。
雨の中少し待っていると、若い僧たちが寺院の前に歩いてきた。
首から下げている容器の中にご飯を入れている光景。
若い僧たちが次々と列をなしてこの寺院の前を通り過ぎていく様を、私は静かに見守った。はしゃいだ中国人観光客たちが写真をパシャパシャ撮りながら僧の容器にご飯を入れていたが、私は参加する気にはなれなかった。
托鉢自体はとても静かで、たまに読経が行われる以外は実にしめやかに進行した。むしろ、我々観光客の方が写真に動画、謎の絶叫と、文化的な行事を台無しにしている感があった。
行列が通り過ぎた後の椅子。托鉢は3,40分で終わった。
それぞれの列は自分の所属の寺院に帰っていく。
さて、托鉢が終わったのは6時を過ぎたころ。ルアンパバーンの主要な寺院が開くのは8時以降のことが多いので、いったん宿に戻り、雨でぬれた体を拭いて再びふかふかのベッドに包まれることにした。
黄金の寺院
再び目を覚ましたのは9時過ぎ。天気は相変わらずで、ルアンパバーンには雨雲が重くのしかかっていた。まずは、目の前のワット・マノーロムという寺院から始めた。
ワット・マノーロムの入り口。中心部からは少し離れている。
近くで見ると寺院の装飾の美しさを感じる。他に観光客はいなかった。
ルアンパバーンは街の中に多数の仏教寺院があり、それらを含めた街全体が世界遺産として登録されている。そのため、京都や奈良のような、明確な”世界遺産の寺院”というものがなく、全部が世界遺産。なのだ。
私は今回、地球の歩き方でピックアップされているような有名なものに絞っていくつかの寺院をひたすら訪問してきたが、ここですべての寺院の写真を羅列しても面白くないので、適当に割愛させていただく。
ワット・タート・ルアン。旧市街の中心部から少し離れた場所にある。
どの寺院も観光客はほとんどいなかったので、静かに観光できる。
ワット・マハータート。博物館の通りに面した、訪問しやすい寺院。
東京まで、4000kmと書かれた看板を見つけた。観光客が多いルアンパバーンらしい光景。
さて、寺院の羅列はこの辺にしておく。世界遺産マニアとしてはもう少し語りたいところだが、読んでいても面白くないだろうし、私も書いていて実に面白くない。この日、私の身に世にも奇妙な大事件が起こるのは、夕方から深夜にかけてなのである。
博物館の横にあるワット・マイ。ここは他の寺院より、超おすすめ。
私がおすすめしたいルアンパバーンのマストスポットは、このワット・マイと、国立博物館、そして、ワット・シェントーンという、有名な寺院の3つだ。
ワット・マイは私が早朝托鉢を見学した寺院で、博物館の真横とアクセスも良い。そして、この寺院の黄金の壁画は一見の価値がある。
こちらがワット・マイの寺院の壁画。目を奪われる精巧な装飾だ。
ワット・マイの正面にはプーシーの丘がある。この付近は観光客も多かった。
その後は博物館が開いたので、王宮を利用した国立博物館に行った。雨だというのに客足は絶えることなく、続々と団体観光客が押し寄せてきたので、これ以上混む前に、早めに見学することにした。
ルアンパバーンでは絶対外せない観光スポット。空いている朝方に行くべき。
敷地内にある寺院では真剣に祈りをささげる地元の方が多くいた。
この博物館は入場時にほとんどの荷物を預けなければならない。大きなリュックサックはもちろん預けさせられたし、私は半ズボンを覆うよう、布をつけさせられた。館内は撮影が固く禁止されているので中の様子がお伝え出来ないのは残念だが、とくに王の間は息をのむ美しさだった。
ラオスの黄金期を象徴する宮殿は、西洋風の豪華絢爛な装飾だった。
ポルトガルなどの西洋の王宮を思わせるような宮殿でありながら、東南アジアらしい絵画装飾も混合されており、ここは文化の美しい交流が見られる、まさに世界遺産にふさわしいスポットだと感じた。
王宮を一通り見学した後は、王宮の対岸にそびえているプーシー丘を登ることにした。ここは夕日の名所として知られており、日没の時間帯は頂上付近が大変混雑するのだそうだ。
今はまだ、午前中、しかもこの雨だ。人は少なそうだが、絶景も期待できなかった。
神の足跡
博物館のちょうど反対側には、プーシーの丘に登る登山口がある。
ルアンパバーンのプーシーの丘と言えば、最も有名と言って過言ではない、絶景スポットと聞いていた。登山ではあるが20分ほどで昇れる、小高い丘と言った印象だ。
この日は激しい雨が降っており、正直テンションも下降気味だった。前日のハードなバス移動もあって体を使うのは億劫だったが、自分に鞭を打って、腿を上げた。
道自体は整備されているので歩きやすい。登りは誰ともすれ違わなかった。
雨こそ降ってはいたが気温はそれなりに高く、階段を登ると汗だくになった。雨と汗で髪も前進もドロドロになりながら、約15分ほどの登山で、頂上にたどり着いた。
プーシーの丘の展望スペース。先端の岩は濡れていてちょっと怖かった。
ルアンパバーンの市街が一望できる、、、が、天気がご機嫌斜めだった。
プーシーの丘の頂上部。夕日の時間帯は混雑するらしい。
頂上についても相変わらず雨が降り続いていた。そのおかげでしばらくは他の観光客も来ず、景色を独り占めできた。しかし、やはりプーシーの丘は夕日の時間帯に来るべき場所だったのだろう。長居する気も起きず、はずむ息を整えて、今度は別の登山口から降りていくことにした。
こちら側の登山口は見どころも多く、比較的楽しかった。
山肌のいたるところに仏像が置かれていて、退屈しなかった。
蛇の形を模した鱗の欄干。東南アジアっぽい雰囲気が最高に良い。
来た時と反対側の道をしばらく進んで行くと、
“IMPRINT OF BUDDHA FOOT”
という、何やら面白そうな看板を見つけた。ブッダの足跡とやらに興味をひかれた私はその看板の後を追った。
仏陀の足跡と呼ばれる場所にたどり着いた。細い入り口が好奇心をそそる。
中は暗くて狭いが、大きな岩盤に足跡のようなくぼみがしっかりできていた。
想像していたよりも人間的な丸みを帯びた足跡の形をした、しっかりとしたくぼみだった。厳重に保護されたその神の足跡をしばらく見つめ、私は深く物思いにふけった。額に雨粒を感じてようやく我に返ると、再び丘を降りはじめた。
下りの方が見どころが多く、ゆっくり降りてきたので時間がかかった。全体として1時間ちょっとプーシーの丘に滞在して、降りてきた。
この後は、ワット・シェントーンと呼ばれる、ルアンパバーンでもっとも有名な寺院に向かって歩いた。サッカリン・ロードは古都ルアンパバーンの中心部と言っても良いほど、とにかく寺院が多かった。このあたりの托鉢は人も多く、もっと見ごたえがあるのかもしれないと思った。
道を歩けば寺院に当たる、ということわざがありそうなくらい、多い。
寺院一つ一つを見学していたらきりがないので、雰囲気を楽しむだけで良いと思う。
雨脚が強まってきたので、いったん、雨宿りも含めてランチ休憩をとることにした。もちろん、おしゃれなレストラン!ではなく、地元の人たちが集まる、ローカルな方の飲食店だ。
東南アジアらしい、香辛料とハーブの香りが効いた麵だった。
激しい雨が通り過ぎ、私の汗が引くのを待ってから、さらに見学を続けた。午後は、ワット・シェントーンなどの残った寺院を見学する。
その後はラオスで最後の世界遺産となる”ジャール平原“のある街、シェンクワーン県のポーンサワンに行く方法を探さなければならなかった。
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