シントラの文化的景観 【ポルトガル】 行き方と難易度

シントラの文化的景観の行き方

日帰り難易度★★☆☆☆

シントラはポルトガルの王族の避暑地として利用された町で、王家の別邸や別荘が建ち並んでいます。

奇抜な外観のペーナ宮殿やムーアの城跡、王宮やレガレイラ宮殿など、見所はたくさんあります。山の上に立つ物件が多いため上り坂が多い点も見学の際は頭に入れておきましょう。

シントラの行き方

シントラはリスボンの近くにあり、近郊電車が発着しているためアクセスがしやすいです。リスボン市内のロシオ駅からシントラ行きの電車で1時間弱で、山のふもとのシントラ駅に着きます。シントラ駅からは434番のバスを使うと、頂上付近のペーナ宮殿やムーアの城跡、レプブリカ広場などに向かうことができます。バス乗車の際は、リスボン市内で発行できるViva Viagem(スイカのようなもの)にチャージして持っておくと便利です。

リスボン市内にあるロシオ駅。シントラ方面の列車が発着する。

ロシオ駅の構内。電光掲示板に行き先が表示されている。シントラは終点なので間違える心配は無い。

シントラ駅前からは1時間に2本ほどの434番のバスを待つ。日曜日の始発でもこの行列である。

ペーナ宮殿

シントラ地区で最も人気のある建物で、連休や週末などはペーナ宮殿の内部に入場するのに1時間以上並ぶこともあります。日中ずっと人気のある場所なので、朝一でここを訪れて、真っ先に内部の見学を終え、ゆっくりと外観の見学を行うと良いでしょう。奇抜な外観はどことなくドイツのノイシュバンシュタイン城を思い起こさせますが、ペーナ宮殿はそのルートヴィヒ2世のいとこにあたるフェルディナンド2世が、ノイシュバンシュタイン城をまねて作らせた物だといいます。山肌に建つ城や屈強な土台などいくつかの共通点も見られます。チケットブースからペーナ宮殿までは上り坂が続くためシャトルバスが運行していますが、混雑するため長時間待たされます。屈強な人であれば20分もあればつく距離なので歩いて向かうのも一つの手です。

チケットブースでチケットを購入した後は上り坂を登っていく。

整備されているため歩きやすいが、上り坂はとてもきつくなっている。

しばらく登ると坂の上に派手な色合いの建物が見えてくる。

ペーナ宮殿への坂道。11時頃には坂の下まで行列ができていた。

ペーナ宮殿の全景。壁のマヌエル様式の装飾やイスラム風の塔などが混在している。

どこを切り取っても奇妙さが目立つ宮殿は散歩するだけで楽しい。

黄色の建物の奥が内部見学への入り口。ごらんのように大行列なので朝一でここを目指そう。

建物へ入るとまず中庭に出る。2018年5月時点で中庭は残念ながら修復中であった。

小規模な食堂。おしゃれな食器類が展示されている。

王族の寝室の一室。壁にはイスラム風の装飾がなされている。ベッドは小さく見える。

応接の間は外からの光をたくさん取り込むゴシック様式に近い。

ペーナ宮殿の食堂部分。調理器具の大きさもとても大きい。

荘厳な装飾の通路を抜けると建物の裏側に回ることができる。

窓枠の装飾は縄をモチーフとしたマヌエル様式だが、イスラム風の扉枠も見られる。

ペーナ宮殿の裏側の広場。こちら側からはシントラ地区を眼下に眺めることができる。

ペーナ宮殿からはムーアの城跡を上から眺めることができる。

ペーナ宮殿は広大な敷地の庭園を有している。歩いてみると文化的景観たる所以を感じる。

庭園内には様々な植物や建物が配置されている。坂も多いので見学する際は注意。

ムーアの城跡

同じくシントラ地区にあるムーアの城跡は他とは一風変わった物件です。700年代に建築されたこの城跡はいったん破壊されますが、その後修復されています。ペーナ宮殿からは坂を下った位置に入り口が有り、そこから歩いて20分ほどで廃墟のようになっているムーアの城跡に行くことができます。上り階段が多くややつらいですが、頂上からの眺めは一見の価値があります。

ムーアの城跡への入り口。チケットを買った後はここから森の中を歩いて行く。

森の中を歩くのも気持ちがいい。序盤は平坦な道が続く。

歩道の幅は広く、しっかり整備されているので歩きやすい。

しばらく歩いていると、山の上の方に城壁が見えてくる。

城門が見えてきたらラストスパート。上でチケットを確認されるので所持しておくこと。

ムーアの城跡の裏側に出る。ここからは城壁の上を歩いて行く。

城壁前に小さな広場がある。1000年以上前に防衛砦として機能していた名残が感じられる。

かなり段差のある階段が続いている。風も強く、あおられてしまう。

登っている途中で、右側にペーナ宮殿が見えてくる。ムーアの城跡との対比が美しい。

城跡の下から頂上部まではかなりの高低差がある。

天気の良い日にはムーアの城跡の眼下に王宮やレプブリカ広場などが見える。

道幅が狭く、階段も急なのですれ違う際などは少し怖くもある。

頂上部は小さな見晴台のようになっている。

頂上部からの眺め。遮蔽物がないため、悠然と広がるポルトガルの大地を楽しむことができる。

山の上にそびえるペーナ宮殿を外側から見ることができる。

下側には砦の名残のような建物も残されている。

シントラ王宮

シントラ王宮は上記2つの見所とは対照的で、山の麓にあるレプブリカ広場に面した位置にあります。もとはムーア人やイスラム教の王が居城としていた建物を増改築し、王族が長い間暮らしていたといいます。そのため建物内はイスラム風のムデハル様式やポルトガル風のマヌエル様式といった装飾が混在しています。シントラ駅やペーナ宮殿、ムーアの城跡を結ぶ434バスが停車するレプブリカ広場から歩いてすぐの位置にあります。

山の麓にあるレプブリカ広場は多くの人で賑わっている。山の上にはムーアの城跡が見える。

レプブリカ広場に面した大きな建物がシントラ王宮。外装は王宮という割に控えめである。

わかりにくいが入り口は正面の大きな玄関口を入ったところにある。

王宮内部の白鳥の間。様々な調度品が飾られている。内装も比較的おとなしいデザインである。

ポルトガル名物のアズレージョ(タイル)もふんだんに使用されている。

天井には人魚をモチーフとしたかわいらしい絵画も見られる。

こちらは船と海で航海をイメージしたデザイン。ポルトガルは大航海時代に繁栄した名残を残す。

壁一面のアズレージョと天井の装飾が豪華な紋章の間。王宮内の一番の見所である。

、天井空間を大きくして光をふんだんに取り入れるゴシック様式の要素もある。

天井の模様はムデハル様式やルネサンス様式などの混合した造りとなっている。

野外にある炊事場。風雨にさらされて劣化が激しいが、アズレージョが美しい。

アズレージョに使用される色は青のみだが、濃淡を巧みに使用して幻想的な絵を描いている。

レガレイラ宮殿

レガレイラ宮殿はレプブリカ広場からは20分ほどゆるやかな上り坂を登った先にある宮殿です。レガレイラの庭園もかなり上り坂があるので、体力を温存したい人は435番のバスを使用すると便利です。レガレイラ宮殿は1700年代に王家の別荘として建てられた物がその前身ですが、その後改築が繰り返されました。見所は遊び心にあふれた中庭で、ファンタジーの世界のようならせん階段や池の飛び石、真っ暗な洞窟迷路などがあります。特に子供にとっては1日中遊べる空間です。

シントラ王宮を出て西方向へ道なりに歩いて行くと、20分ほどでレガレイラ宮殿が見えてくる。

しばらく宮殿を左手に見ながら登っていく。入り口は園の上の方にある。

レガレイラ宮殿は白いデザインの小さな建物。その周りに広大な庭園が広がっている。

庭園内のらせん階段。ファンタジー世界に迷い込んだような錯覚に陥る。

階段に沿って実際に下まで降りることもできる。

下から見たらせん階段。水辺が近く足下が湿っているので滑らないように注意。

地下は暗い洞窟が続いている。全く電灯の光がない場所もある。

庭園内には池もあり奇岩が配置されている。

池には飛び石が配置されており、歩いて渡ることができる。非常に滑るのでゆっくり進もう。

こちらは別のらせん階段。園内には2カ所のらせん階段がある。

らせん階段の上部。こちらの階段は苔むしていて少し趣がある。

レガレイラ宮殿はとても小さな建物。城を基調とした独特のデザインである。

宮殿からは広大な庭園内部を見渡すことができる。

敷地内の展望エリアからはシントラ地区を見ることができる。

山間に目を向けると、岩肌の上にムーアの城跡がそびえているのがわかる。

ロカ岬(番外編)

世界遺産エリアではありませんが、このシントラ地区からバスで1時間弱ほどでアクセスすることができるロカ岬も紹介しておきます。ポルトガルは地図で見るとわかるとおり、ユーラシア大陸の最西端にありますが、このロカ岬こそがその最西端の地に当たります。

見所があるわけではなく、一面に大西洋が広がるだけですが、旅人としては外すことのできないスポットでしょう。シントラとカスカイスを結ぶ403番のバスに乗車しますが、ロカ岬で運転手が長く停車してくれるので、降りるときはわかると思います。

ユーラシア大陸の最西端に当たる地。世界遺産とは関係が無いが、観光客は多い。

右手に見えるのがバス停と郵便局。ここで名前入りの最西端到達証を発行してもらえる。

石碑が建っており、ポルトガルの詩人が読んだ「ここに地はて、海始まる」の文字が刻まれている。

どこまでも大西洋が続いている。のんびりと風に吹かれるのも気持ちいい。

 

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