端島炭鉱 (軍艦島)、旧木型場、旧グラバー住宅の行き方
目次
日帰り難易度★★★★☆
明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業は岩手・静岡・山口・福岡・佐賀・長崎・熊本・鹿児島の8つの県にまたがった世界遺産ですが、そのうちの端島炭鉱 (軍艦島)、旧木型場、旧グラバー住宅等8ヶ所は長崎県の長崎市にあります。
長崎は出島を通して海外との交流が続いていた地域でもあり、造船業が大きく発展しました。そのため、三菱造船所に関連する工業遺産が残っています。
また、トーマス・グラバー氏の尽力によって発達した高島炭鉱や彼の居住地である旧グラバー住宅、そして軍艦島の愛称でも有名な端島炭鉱なども世界遺産に登録されています。
多くの構成資産は長崎市内にありますが、軍艦島はクルーズツアーでしか訪れることができない上に、天気や高波によって上陸できない日が20%~40%程度あるため、難易度はやや高いです。
また三菱造船所敷地内にある旧木型場も事前予約が必須となっています。
端島炭鉱 (軍艦島)の行き方
軍艦島は長崎湾の沖合にある島で、単独での上陸が許可されておりません。そのため主に長崎港フェリーターミナルから出航する軍艦島上陸(周遊)ツアーに参加する必要があります。
2019年9月以降、台風17号による損壊の影響で上陸ができません。また復旧のめどについても未定とのことです。
長崎港フェリーターミナルから出港するのは以下の2社です。
やまさ海運さん 公式HPはこちら
軍艦島クルーズさん 公式HPはこちら
常磐ターミナルから出港するのは以下の2社です。
軍艦島コンシェルジュさん 公式HPはこちら
シーマン商会さん 公式HPはこちら
長崎市内からやや離れた野母崎から出港するのは以下の会社です。
馬場広徳さん HPはありません。
どれも一長一短があり値段や船の大きさ等は細かな違い程度しかありません。個人的には駐車場もある大きな長崎港フェエリーターミナルから出港する2社がアクセスしやすくおすすめです。
また、軍艦島クルーズさんのプランにはもう一つの世界遺産の炭鉱、高島炭鉱を巡るツアーもあります。
長崎港フェリーターミナル。五島列島行きなど各種の便が運行する大きな港。
港には多くの船が停泊している。乗船人数は限りがあるので予約が望ましい。
軍艦島へはクルーズ船を利用して訪れる。朝と昼の1日2便程度運行している。
クルーズ船からは非公開施設のジャイアント・カンチレバー・クレーンが見られる。
さらに三菱造船所の非公開施設の世界遺産”第三船渠”も洋上から眺めることができる。
進行方向左手側には中腹に旧グラバー住宅が見える。
同じく進行方向左手に、世界遺産として登録されている小菅修船場跡が見える。
30分ほどのクルーズで外洋の軍艦島が見えてくる。このあたりから波が高くなる。
端島炭鉱 (軍艦島)
端島炭鉱は、明治時代に発掘された海底炭鉱を元にして発達した島で、全盛期にはとてつもない人口密度を誇った島でもあります。
島内には大規模な集合住宅の他、小中学校や映画館、パチンコといった娯楽施設、警察署や郵便局といった公共施設も整備されており、豊かであったことが窺えます。
その一方で、炭鉱は海底にあるため労働者は地下深くまで降りて肉体労働を行っており、“星を頂いて入坑し星を頂いて出坑する。陽の光に当ることがない”と揶揄されるほど過酷な環境であったことがうかがわれます。
炭鉱に降りる階段は”命の階段”とも呼ばれており、現在もその一部が残っています。
現在は廃坑となったことで無人島となり、風雨にさらされた廃墟が残っています。遠くから見た様子が軍艦に似ていることから軍艦島の愛称で親しまれています。
外洋から見た軍艦島。大きな集合住宅跡地が遠くからでも目立つ。
遠目から見た端島炭鉱はさながら軍艦のような姿をしている。
接岸しても上陸できないことがある。特に夏は上陸率が低い。
ドルフィン桟橋を経て端島炭鉱に上陸する。島内も専属のガイドと見学する。
2019年9月、台風17号の影響により施設の倒壊が激しく現在は上陸することができません。
廃坑となったことで衰退したが、繁栄した当時の様子が偲ばれる。
炭鉱に降りていく鉱夫が”命の階段”と呼んだ階段の一部が残っている。
赤いレンガの建物は総合事務所。炭鉱夫はここでお風呂に入ることができた。
海風が強く吹き抜け、また台風も通りやすいため損壊が激しい。
旧木型場の行き方
旧木型場は三菱長崎造船所内にある施設で、鋳造する際の鋳型となる木を加工生産していました。
現在この施設は長崎造船所「史料館」として一般に公開されています。ただし企業の施設内にあるため自由に立ち入りすることはできず、三菱重工が運営するツアーに予約をしたのちシャトルバスで長崎駅からアクセスします。
詳しくは以下のHPをご確認ください。
所要時間は見学を含め約90分となっており、長崎駅前にて解散となります。
旧木型場
三菱長崎造船所・旧木型場は、造船の際金属製の部品を製造する工程にて使用した、金物の鋳型となる木型を生産した施設です。
このほか三菱長崎造船所の敷地内には現在も稼働する”ジャイアント・カンチレバー・クレーン”、”第三船渠”、”占勝閣”がありますが、内部まで公開されているのはこの旧木型場のみになります。
旧木型場の内部及び外観は撮影することができますが、カメラを工場に向けて他の場所を撮影することは禁止されています。
オレンジ色のレンガが美しい旧木型場は長崎をおそった原子爆弾にも耐え抜いた。
明治日本の造船技術の発展を陰から支えた重要な施設である。
内部は資料館となっており、造船業に関する資料や三菱の歴史などが展示されている。
最深部にそびえる関西電力尼崎第一発電所の1号タービン。迫力がある。
吹き抜け部分には工場として使用されていた痕跡が残っている。
旧グラバー住宅の行き方
旧グラバー住宅は明治日本の近代化に大きく貢献したスコットランドの商人、トーマス・グラバーが住居としていた場所です。
長崎市内でも有数の観光地であり、路面電車で比較的簡単にアクセスすることができます。
長崎駅から1号系統の鉄道を利用して新地中華街駅まで向かい、その後5号系統石橋行きに乗り換えます。
最寄り駅は大浦天主堂駅で、駅からは上り坂を10分ほど登ります。上り坂の途中には長崎のもう一つの世界遺産に含まれる、大浦天主堂があります。
また、終点の石橋駅にはグラバースカイロードと呼ばれるエレベーター(無料)があり、これを利用すると坂道を歩いて登ることなくグラバー園にアクセスできます。
新地中華街駅で石橋行きの5号系統に乗り換える。
旧グラバー住宅
スコットランド人の商人トーマス・グラバーは長崎において造船業の発展を主導し、また炭鉱開発などにも携わり、明治日本の近代化に大きく貢献しました。
一方でグラバーは親日家としても知られ、日本人の女性ツルと結婚し子供をもうけています。
木造住宅でありながら洋風の建築を取り入れた住宅であり、グラバーの日本文化に対する理解と愛情が窺えます。
正面から見た旧グラバー住宅。8角形の入口が美しい。
長崎市内を眺める小高い丘の上に建てられている。
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