カンボジア・タイ旅行記 6
バンコク→アユタヤ→バンコク
タイ滞在2日目。別の国に移動してきて2日目の朝を迎えた。
日焼けと長距離バスでの疲れがまだ残っており、足取りも重いが国鉄マッカサン駅に向けて歩き出す。
飲食店も多く、車や人の流れも多い。朝早くから多くの人が行き交う気配は、カンボジアとは異なる。
朝から多くの車が行き交うタイの首都バンコクはめざましい発展を遂げている。
舗装された道路はとても歩きやすく、町中に野犬もいない。ゴミもほとんど無いので快適に歩くことができる。
バンコクはまだ歩き慣れていないので、少し迷ってしまった。
空港行きの鉄道なども通り、かなり発達した街であることが窺える。
30分ほど歩くと、なんとか最寄りのマッカサン駅に着いた。
どういう路線なのか全くわからなかったが、アユタヤ、アユタヤと連呼していると、まずは中央駅に言って乗り換えろと周りの人が教えてくれた。
チケットはいらないらしい。
とにかく、この列車に乗れといわれ、素直に乗り込んだ。
車内は激混みで車両の中に進むことができない。
そしてなぜか扉は閉まらないまま動き出す。
何が起きてもマイペンライ(タイ語でなんともないの意)な国。熱気のこもるバンコク市内を、風を切って走り出す。
日本ではあり得ない光景だが、ここタイでは常識なのだろう。こうした文化の違いがとても刺激になる。
駅でもない場所で急に電車が停車した。
駅でもない場所で止まって人が乗り降りするのである。
切符の売買もなく勝手に乗り降りする人々。電車は混んでいるので押すな押すなの喧噪が始まる。
慣れない電車に四苦八苦しながらも電車はバンコクの主要駅、クルンテープ駅に到着した。
日本とは異なるがたくさんの人でごった返している。
なんとかカウンターにたどり着いてアユタヤ行きのチケットをとってもらった。タイ人は英語がわからない人が多いが、ここでは通じた。
朝食を駅の売店で買い込んでホームへ。
ようやく列車が到着した。この列車はいわゆる特急扱いの車両らしい。
タイの列車は遅れることもあるらしいのだが、始発だからか時間通りに出発した。
快適な列車の中で朝ご飯をいただく。
発車してしばらくしてから気付いたのだが、車内に電工案内板らしき表示もなく、アナウンスもタイ語のみなので、どこを走っているのか全くわからない。
隣の人に降りるタイミングを聞きながらなんとかアユタヤの地に降り立った。
のどかな感じのする駅だが、たくさんの観光客がいっせいに降りてきた。
駅前にはたくさんのトゥクトゥクが客引きをしていた。
カンボジアと違って観光客慣れしており、けっこうしつこくしてきたが無視して先へ進む。
レンタルバイクやお土産やが並び、繁盛しているようだ。
アユタヤ巡りをするには駅前のこの道をまっすぐ進んで大きな川を越える必要がある。
渡し船に乗るために歩いて行く。
渡し船乗り場に着いた。片道5バーツ(15円くらい)で地元の人の足となっている。
ちょっと古い船だが、満席になるくらい人が乗り込んで出発した。
反対側の岸ではレンタルバイク屋やレンタサイクル屋がひしめいていた。
その中の一件で自転車を借り、アユタヤの街にくりだした。
ちなみに借りる際はパスポート他身分証の提示を求められる。
適度に暖かくていい自転車日和だ。
町中に小さな遺跡群が点在しているのも面白い。
地図を渡されてまず向かったのが一番人気のあるワット・マハータート。
朝一番に行かないと観光客が押し寄せて混んでしまうと思ったからだ。
交通量が多い道もあるのでちょっと怖かったが、15分ほどで着いた。
すでに多くの自転車やタクシーが止まっている。
アユタヤ王朝が繁栄を極めた当時中心的な役目を果たしていた。
この寺院には、ビルマ軍の進行時に破壊された仏像の頭が長い年月をかけて木の根に取り込まれた場所がある。
インスタ映えする例のアレ、である。
雄大な自然とおだやかな表情の仏頭には神秘的な魅力がある。
ただ、厳格な仏教を重んじるタイでは、寺院内での写真撮影などにも決まり事や禁止事項が多い。
ここもインスタ映えする有名なスポットなのだが、写真撮影の際はかがんで頭を仏頭と同じ高さに合わせなければならない。
ひっきりなしに観光客が来るが、みなしっかり礼節をわきまえていた。
この寺院そのものも非常に見応えがある。特徴的なのはレンガ積みの建築。
昨日までいたカンボジアはヒンドゥー教だがこちらは仏教。建築も文化も全く異なる。
レンガ積みの建築は色鮮やかな印象を与える。逆に壁画レリーフは少ない。
ビルマ軍による侵攻で大きな被害を受け、多くの寺院で破壊と略奪が行われた。
昨日までカンボジアにいたので、比べるといろいろな違いが発見できて面白い。
ひととおり巡っている間に人の数も増えてきたので次に進むことにした。
次はこの寺院の真北にあるワット・ラーチャブーラナ。大きな通りを挟んだ向かい側にある。
古都アユタヤの、規模の大きな寺院の一つ。大きな門が出迎える。
大きな仏塔がそびえている。登って内部に入ることができる。
長い階段を下って遺跡の地下深くに行くことができる。
休みなしで行動しているので足ががくがくだったが、なんとか中に入った。
この寺院内部にはアユタヤ王朝時代の壁画がうっすらと残されている。
約600年ほど前の壁画だが、人の立ち姿などは今見ても理解できる。
最深部には色鮮やかな壁画空間がある。建築当時はさらに美しかったのだろう。
アユタヤ王朝はビルマ軍に滅ぼされるまで400年近く続き、繁栄した王朝である。
激しい戦禍で損壊した寺院も多いが、当時の繁栄を示す点が残っているのが興味深い。
外に出ると強烈な日差しが猛威を振るい始めていた。
暑い中必死で自転車をこいで次のスポットへ行く。
アユタヤは自転車に優しく、ちゃんと自転車用レーンが道路にあるのがありがたい。
また、寺院には必ず駐輪場があり無料で利用できるので自転車を止めるのにも困らない。
自転車を止めて次の寺院に向けて歩いて行く。しかし暑い。
次に来たのがワット・プラ・シー・サンペット。3つの仏塔が並ぶ美しい寺院。
ここもインスタ映えで有名なスポットである。
3人の王がそれぞれの仏塔に祀られている。どれも美しい。
2つを切り取って見てみるのも面白い。ここもアユタヤで有名な場所の一つ。
ちなみに、この寺院の裏側にはアユタヤ王宮の跡地がある。
ビルマ軍の破壊によって跡形もなく壊されてしまったため、更地になっていた。
アユタヤの象徴は徹底的に破壊され、土台部分しか残っていなかった。
周辺にはウィハーン・プラ・モンコン・ボピットという大きなお寺がある。
本堂は復元された物であるが、悠然とそびえる寺院は日本の建築とは全く異なる。
タイ国王が崩御されてから1年間、喪に服すためここでもお祈りが行われていた。
大きな寺院は修復中で枠に囲われていた。
日差しが強くなってきた。サングラスも帽子もないのでもろに影響を受ける。
まだ3月なのに、自転車を漕ぐと汗ばんでくるほど暑い。
途中で象がたくさんいるエレファント・キャンプを通りがかった。
独特の野生動物のにおいが周囲に立ちこめていた。
基本的にタイは道路が整備されており、ぼろい自転車でも走りやすい。
町中はゴミもなく綺麗である。
美しい川を渡って気分もすがすがしい。
と思ったそのとき
車輪が何かにはまり、盛大にずっこけた。
橋に穴が空いているんですが、、、
油断すると思わぬ場所で足を取られるので走行中は常に注意しておきましょう。
そんな失敗をしながらも、20分ほどで町外れのワット・ローカヤスッターにやってきた。
広々とした土地に巨大な寝仏像がおいてある。ここが3ヶ所目のインスタ映えスポット。
中心街からは離れているので観光客はまばらにしかいない。閑静な住宅街だ。
人と比べるとその大きさがよくわかる。全長は28mもある。足の裏がかわいい。
何もない広場に堂々と寝っ転がっている。この仏像も実は復元だったりする。
仏像の背中側はこんな感じ。寝仏像を後ろから見る機会はなかなかないので面白い。
想像していたより全然大きくて大満足だった。
見学したい場所は一通り巡ることができたが、まだお昼過ぎで十分時間がある。
レンタルは1日だしバンコクに帰ってもやることがない。
せっかくなので周辺の他の寺院も探検してみることにした。
北側にあるワット・ナー・プラメーン。交通量の多い道路を横切るので注意。
黄金の仏像が有名。ビルマ軍との戦争で破壊を免れた数少ない建物である。
時間があるので先ほど通過した寺院、ワット・プラ・ラームに戻ってきた。
強烈な日差しの中自転車をこぎ続けているので汗だくである。
途中で何度も水分補給をした。
ここはクメール様式の寺院なので少しカンボジアと似ている部分がある。
アユタヤの比較的中心部に位置しているが、あまり観光客は入らないようだ。
壁のレリーフなどもどこかカンボジアと共通する部分がある。
赤色の美しい遺跡。インスタ映えはしないが規模も大きいので時間があればおすすめ。
この遺跡を出るとき、他の一人旅の男の子に話しかけられた。次にどこに行くのかとか、どこがおすすめとか英語で情報交換をした。
こういう観光地では現地の人のおすすめも大事だが、旅人同士の情報交換も大切。
途中で通り雨に降られたりもしたが、今度は30分ほどかけて島の反対側方面へ。壁画で有名なワット・スワン・ダララームへ向かった。
アユタヤの中では比較的新しい印象の寺院である。場所がわかりにくくて迷った。
わかりにくい場所にあるので観光客はおろか地元の人も全然いない。
不思議な壁画が残る寺院。タイはひとつひとつの寺院がユニークで興味深い。
こちらが本堂。150年前に書かれた仏陀の生涯をテーマとした壁画である。
アユタヤの本島にあるメジャーな見所からマイナーな観光地まですみずみまで気合いで見て回った。
この寺院に来る途中に面白そうな渡し船があったので、帰り際に冒険心で乗ってみた。
船着き場はここ。アユタヤ本島の南側にある地元の人しか使わない渡し船だ。
アユタヤは4方を川に囲まれているので、移動には川を渡らねばならないのである。
そしてここの渡し船はなんとバイク、自転車に乗ったまま乗れるのである。
川向こうに用事があるわけではないが、急にやってみたくなったので自転車で乗船した。
そのまま降りて運転していく。現地の人々の生活を垣間見れた瞬間だった。
しばらく自転車でぶらぶらしていたが、だんだんと雲行きが怪しくなってきたので観光を切り上げることにした。降ったりやんだりといやな天気になっていたのである。
自転車を帰して帰路につく。1日中乗り回していたのでもうへとへとだ。
ちょうど学校が終わる時間だったようだ。学生と一緒に渡し船に乗り込む。
まだ夕方前なのにほとんどの店が閉店していた。朝とは違って静かで不気味。
アユタヤ駅に帰ってきた。学生達も電車を待っている様子。
待つこと数十分で帰りの列車が到着。古そうな普通列車である。
電車は遅れているようだったが、無事乗ることができた。
たくさんの観光客が同じ列車に乗り込んだ。
昔ながらの古い列車に乗って揺られる。エアコンがなく、窓は全開である。
タイの田舎の車窓を眺めながら、バンコクに帰る。何も無い草原が続く。時折駅に止まるがほとんど乗り降りはない。
たまーに車内販売が通るほかは電車の音と風の音しか聞こえない。行きとは違い普通列車なので倍近い時間がかかった。約3時間ほどでだんだんと都会の風景になってきた。
クルンテープ駅に着いたころにはすっかり日も暮れていた。
この駅で地下鉄に乗り換える。バンコクは都会なので迷うことはなかった。
通勤ラッシュの時間なのか電車はとても混んでいた。
ホテルの最寄り駅に着いた頃には夜の様相である。電光掲示板や高層ビルが目立つ。
眠らない街バンコク。バンコク名物の大渋滞を上から眺めた。
ひっきりなしに車が行き交う。さすが外国人旅行客数No.1の国際都市である。
前日ホテル探しで助けてくれた洋服屋のお姉さんに再会してTシャツをお土産に買った。
明日は朝の便で日本に帰国する。最終日なのでナイトマーケットに繰り出した。
たくさんの外国人観光客を見かけた。タイは物価が安く、買い物が楽しい。
旅の思い出にたくさんお土産を買い込んだ。露店でおつまみを買い込んでホテルに戻った。
カンボジア・タイの旅行は移動も多く、観光は体力勝負だった。ただ、珍しい遺跡群は観光していてとても楽しく感じた。
タイもカンボジアも取りこぼした世界遺産がまだあるのでいずれ再訪するだろう。
荷物をまとめ帰国の準備をして就寝した。
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